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春場所中止へ「やむを得ない」 東北関係者ら厳しい声
日本相撲協会が5日に大相撲の春場所を中止する方針を固めたことについて、東北の相撲関係者やファンからは「中止はやむを得ない」との厳しい意見が出る一方で、「楽しみにしている人のために開催すべきだ」と残念がる声も聞かれた。 青森県つがる市の相撲クラブで指導する越後谷清彦さん(48)は「相撲の心技体のうち、最も大切な心が駄目になっていた。中止はやむを得ない」と話す。 福島県相馬市の自営業で、玉ノ井部屋相馬後援会の役員を務める斎藤正之さん(63)は「5月場所に向けて(改革に)専念した方がいい」と強調した。 宮城県加美農高の相撲部監督の菅原勝志さん(32)も、中止は仕方がないとの考えで「アマチュアでも八百長があるのではないかと言われ、嫌な思いをしている」と語った。 一方、相撲ファンという仙台市若林区、パート従業員中川照雄さん(71)は「世界中の人が楽しみにしており、当事者を解雇して開催すべきだった。八百長は一部の力士だけと信じている」と悔しがった。 角界が今後、どうなるのか、心配する声は多い。 弘前実高相撲部で高見盛らを育てた元日本相撲連盟常務理事の武田登さん(62)は「白鵬の活躍で盛り上がっていただけに残念だ。頑張っている幕下の若手への影響を心配している」と表情を曇らせる。 青葉区でちゃんこ店を経営する元力士の山形忠さん(60)は「ファンを裏切り、不信感を与えた。当事者の解雇だけでは解決にならない。地方巡業など地道な活動を続けて信頼回復に努めてほしい」と訴えた。
<改組し出直すべき> 黒田勇関西大副学長(スポーツ社会学)の話 大相撲は国やNHKに支えられてきた興行で“国技”として特別扱いされてきた。本来、多くのアマチュアがいて、その頂点に立つのがスポーツエリート。競技人口が少なく、選ばれた意識がないから平気で八百長をするのでは。春場所中止はもちろん、日本相撲協会は解消、改組して出直すべきだ。
<危機管理ない組織> 危機管理コンサルタント田中辰巳さんの話 歴代の理事長も含め、日本相撲協会は事態の重大性に気付くのが一手ずつ遅れ、全部後手に回っている。危機管理が全くできない組織だ。真剣勝負を求めるファンの心理が分かっていれば、八百長が命取りになることが分かっていたはず。公益法人で国技である、という自分たちの“土俵”がどういうものなのかが認識できていない。もっと事態を深刻に受け止め、過去も含めて徹底的に洗い出し、国民に心から謝罪すべきだ。
◎8月の秋田巡業中止
大相撲の八百長疑惑を受け、秋田魁新報社(秋田市)は5日、8月に秋田市で開催を予定していた夏巡業「大相撲秋田場所」の中止を決めたことを明らかにした。 同社は中止決定について「今回の疑惑は大相撲の根幹を揺るがす問題。全容が解明されなければ、ファンの支持は得られない。この状況で開催することは困難と判断した」と説明している。
2011年02月06日日曜日
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