2010年10月3日3時3分
握手する菅直人首相(右)とモンゴルのバトボルド首相=2日午後、首相公邸、代表撮影
菅政権は、自動車や家電製品などに使うレアアース(希土類)について、豊富な埋蔵量が見込まれるモンゴルから本格調達する方針を固めた。尖閣諸島沖の漁船衝突事件で中国側がレアアース禁輸を事実上の対抗措置としたことへの危機感から、官民一体で資源外交に乗り出し、調達先を広げる狙いがある。
菅直人首相は2日夕、来日したモンゴルのバトボルド首相を首相公邸に招いた。日本の大手商社幹部らも同席した。会合の冒頭、首相は「極めて高い潜在力を有するモンゴルの鉱物資源開発は両国の国益にかなう。資源開発を中心とした経済交流のいっそうの発展につながれば幸いだ」と語った。
この日の会合で、双方は今月中に本格的な探査事業に入る方針を確認した。日本側から独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などを経由して技術や資金を供与、人工衛星情報も使って埋蔵の可能性が高い地点を絞り込み、11月から試掘に入るという。出席者によると、会合ではバトボルド首相から「非常に建設的であり、両国の友好や発展につながる。こうした協力をさらに継続したい」との意向が表明されたという。
現在、日本のレアアース輸入の約9割が中国から。これを、数年後には中国への依存を7割前後まで引き下げる狙いだ。中国以外では豪州やカナダ、米国などに頼っている。民間では、カザフスタンや南アフリカで資源を開発する動きも始まっている。
政府関係者によると、モンゴルではレアアースの埋蔵は確認されているが、まだ採掘段階に至っていない。日本からは、JOGMECなどが調査を始めている段階だ。首相周辺は「モンゴルは日本の技術を欲しがっている。官民一体で中国以外の国からレアアースを獲得しておくことが、1カ国に偏らない資源外交の強化につながる」と話す。
バトボルド首相は今回、大相撲の元横綱朝青龍の断髪式に出席するため来日。菅首相側が急きょ、公邸に招くことにした。(山岸一生)