あかつき:逆噴射直後に姿勢崩す 軌道投入失敗

2010年12月8日 21時53分 更新:12月9日 0時50分

逆噴射に使われた新開発のエンジン「セラミックスラスター」の実物大試作品=相模原市のJAXA宇宙科学研究所で2010年12月8日、山田大輔撮影
逆噴射に使われた新開発のエンジン「セラミックスラスター」の実物大試作品=相模原市のJAXA宇宙科学研究所で2010年12月8日、山田大輔撮影
あかつきが回転する様子
あかつきが回転する様子

 金星の周回軌道投入に失敗した日本初の金星探査機「あかつき」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8日、逆噴射開始から2分23秒後に機体が急回転するなど姿勢が大きく乱れ、非常事態に取る「退避姿勢」に入っていたことが分かったと発表した。逆噴射に使った新開発エンジン「セラミックスラスター」が破損した可能性もあり、引き続き、原因究明を続ける。

 あかつきは7日朝、計画通りにエンジンを逆噴射し、軌道投入のための進路変更を始めたが、直後に約1時間半にわたって通信が途絶。その間に機体が退避姿勢に切り替わり、逆噴射を中断した。あかつきは必要な減速ができず、金星付近を通過した。

 あかつきから送られた姿勢情報を解析した結果、あかつきは逆噴射開始の2分23秒後、5秒に1回転という高速でコマのように回転し始めたことが判明した。これで機体は退避姿勢に入ったと推定される。中村正人JAXA教授は「相当強い衝撃を受けたのではないか」と推測する。

 セラミックスラスターは今回初めて搭載され、金星に向かっていた6月末の噴射試験では問題がなかった。中村教授は「地上で破損試験も行い、丈夫だと確認したが、(非金属の)セラミックなので何か当たれば壊れる可能性はある。エンジンはすごい勢いで噴いており、(破損により)横に噴けばそういう回転も起きる」と話した。

 スラスターが破損していた場合、6年後の再投入に挑戦することは難しくなるが、中村教授は「今はまだ起きたことが分かっていない。再投入の気持ちは変わっていない」と述べた。【山田大輔】

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