あかつき:日本の惑星探査に暗雲 軌道投入に失敗

2010年12月8日 11時47分 更新:12月8日 13時32分

金星探査機「あかつき」=2010年3月撮影
金星探査機「あかつき」=2010年3月撮影

 探査機「あかつき」の金星周回軌道への投入は失敗に終わった。98年打ち上げの火星探査機「のぞみ」の失敗に続く再挑戦も実らなかったことで、今後、日本の惑星探査計画に暗雲が垂れこめる事態は避けられない。

 日本初の惑星探査を目指して98年に打ち上げられた火星探査機「のぞみ」は、通信機の電源系統が故障し、軌道投入を断念した。

 後継機には、通信機器の電源を2台積んだり、姿勢が乱れても機能するアンテナに改良するなど、過去の失敗の原因を分析し反映させた。「数々の失敗を乗り越えた小惑星探査機『はやぶさ』の生還がその好例」と、関係者はあかつきの成功にも自信をのぞかせていた。

 あかつきは6種類の観測装置を搭載。厚さ約90キロもの硫酸の雲を透過して地上の火山の活動状態を調べるなど詳しい観測を行う予定だった。自転より速い秒速100メートルの東風が吹く「スーパーローテーション(超回転)」と呼ばれる謎の現象の解明が期待されていた。

 政府の事業仕分けなどで宇宙事業はやり玉に挙がっている。あかつきは開発と打ち上げで約250億円を投入しており、「成果がない」との批判が出ることは必至だ。JAXAの管理体制など独立行政法人の見直し論に発展する可能性もある。中国など新興国の追い上げは著しく、「宇宙先進国」の座からの転落を招くおそれもありそうだ。【山田大輔】

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