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積もる苦悩:除雪の現場/下 記録的な豪雪の会津地域 /福島

 ◇「予算が底を突いた」 国道維持管理も節約作戦

 会津地域の17市町村の首長や議会議長らが1月21日、県庁に佐藤雄平知事を訪ねた。記録的な豪雪に見舞われ、除雪や農業被害への財政支援を求めるためだ。佐藤知事との面会後、会津若松市の菅家一郎市長は「今年の雪は大変厳しい。全力で市民生活を守らなければならない」と苦境にあることを強調した。

 同市では今年度、除雪予算は昨年度並みの3億円を計上していた。暖冬傾向だったので昨年度はほぼ足りたが、福島地方気象台によると、今年度は12月26日、1953年の観測開始以来最深となる115センチの積雪を記録。除雪予算は1月下旬で使い切り、市の貯金に当たる「財政調整基金」を取り崩して、当初予算の2倍近い5億2100万円を追加した。

 市にとっては、景気が落ち込んで税収が減っている時だけに、できれば除雪費は抑えたい。しかし、雪は降る場所と量を選ばない。市道路維持課は「気象が相手では仕方がないが、これから一体いくらかかるのか予想もつかない」とため息をつく。

 喜多方市も1月、当初の予算1億8000万円に8600万円を上乗せした。会津坂下町も当初の5000万円は既に使い切り、3月までにはさらに2000万円が必要になりそうだ。

  ■  ■

 国土交通省は今年度、直接管理する全国の国道の道路維持管理費を、当初予算で前年より1割以上少ない2089億円に減額した。民主党の事業仕分けで、予算縮減と判定されたためだ。このあおりを受け、この中に含まれる除雪費は220億円から190億円に減った。

 東北地方整備局には昨年度、一冬で40億円が配分されたが、今年度さし当たりついた予算は26億円。経費削減のため、降雪が少ない道路は融雪剤の散布量を減らし、通常は2台1組で作業する除雪車「グレーダー」を1台にして人件費を半減させようと試みている。

 だが、この雪では予算が3月上旬には底を突く可能性が高い。足りなくなれば国交省に追加支出を要請しなければならないという。除雪業者には「ケチケチしたって、雪が多くて必要な所には必要なだけ使わざるを得ない」と冷ややかな見方もある。

 国の来年度予算の財務省原案では、道路維持管理費は2158億円で減額に歯止めがかかり、除雪費も今年度並みに確保できそうだ。ただ、道路特定財源が一般財源化され、今後の大幅な増額を見込むことはできない。

 同整備局の担当者は「従来から乾いたぞうきんを絞るように節約策を打ち出してきたが、できることは少なくなっている。あとは雪が降らないように祈るしかない」と嘆く。【種市房子】

毎日新聞 2011年2月6日 地方版

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