藤田正美の時事日想:2011年度予算を決める通常国会が今日から始まった。衆参ねじれ国会という厳しい状況の中で、菅政権は予算案を成立させることができるのかどうか、全く不透明だ。民主党政権の問題点はハッキリしている。圧勝した2009年の総選挙で掲げたマニフェストの中で実現できていない、あるいは実現できそうもないことが多すぎるのである。
理由はいろいろあるだろうが、大きな問題の1つは、民主党の支持母体が労働組合だということだ。例えばマニフェストの中で、国家公務員の人件費を2割削減するというのがあった。これによって1兆円以上の支出を削減するとうたっていた。しかし来年度予算案の中ではわずか190億円しか減っていない。人事院勧告以上に削減するという話もあったが、労働争議権が制限されている見返りに人事院勧告制度があるのだから、それ以上に削減するのはおかしいという党内からの反対で立ち消えになった。
●公務員問題が顕在化した理由
英エコノミスト誌の先々週号(1月8日号)が興味深い特集を組んでいた。タイトルは「来るべき戦い」、副題に「公務員労組との戦いは、単に歳出カットの問題ではない。生産性と同等の問題である」とある。
公務員の問題が顕在化してきたのは、要するに財政が逼迫(ひっぱく)してきたからだ。ギリシャでは財政危機に陥った政府が公務員の給与を削減しようとして大規模なデモが起こった。このような状況は、欧州だけではなく米国(例えばカリフォルニア州)でも見られる。もちろん日本も同様だ。
理由はそれだけではない。多くの先進国では、公務員の待遇は総じて民間部門よりも高く、年金が極めて有利である上に、民間に比べてはるかに安定している(解雇されることが少ない)。さらに労働組合は常に「改革」に抵抗してきた、とエコノミスト誌は指摘する。「米国でも欧州でも、優れた教師を表彰することは、ダメ教師を首にするのと同じぐらい難しい」
過去30年間で民間労組の組織率は大幅に低下した。例えば英国では労働者の44%から15%になり、同期間に米国では33%から15%になった。しかし公務員は英国では半分以上が組合員だし、米国でも36%が組合員だという。
ちなみに日本は、厚生労働省の調査によると2009年の推定組織率は18.5%。ずっと右肩下がりで来ていたものが、ここ数年下げ止まった形となっている。産業別で見ると、公務と分類される労働者数が約1割を占めるが、組織率は2009年で43.4%と全体に比べるとはるかに高い。…