2011ウェブ虚業御三家の一「ペニーオークション」は一刻も早く規制を!
松永英明提供:絵文録ことのは
2011年01月24日16時13分
2011年現在の「ウェブ虚業御三家」(と私が勝手に名付けたもの)は、情報商材、クーポンサイト、ペニーオークションである。その中で、ペニーオークション(あるいは激安オークション、新感覚オークション等と呼ばれる)が問題となっている。
よくご存じない方は以下の私の解説をお読みいただきたい(ウィキペディアより詳しく書いてある)。
結論からいえば、ペニーオークションというのは「入札するごとに手数料を取られ、落札できなくても返ってこない」という仕組みであり、よく調べてみれば、平均すれば負けることが確実なギャンブルである。また、ここでサクラを使っている可能性も指摘されており、もしそうであれば利用者は落札不可能なのに手数料だけ取られるわけだから、極めて詐欺的であるともいえる。
ところがこのブラックな仕組みに進出している大企業がある。サイバーエージェント系「
カイドキ」、ぽすれんによる「
GEO(ゲオ)オークション」、「
DMM.com ポイントオークション」などである。
私はできるだけ迅速に(情報商材と並んで)ペニーオークションに関する調査と規制に行政が取り組む必要があると考えている。
芸能人ブログでのペニオク宣伝騒動
n-styleさんと地蔵さんによって、アメブロ芸能人公式ブログの多くで「ペニーオークションで落札できました」という記事が公開されていることが暴かれ、ツイッターや2ちゃんねるなどでも大きな反響があった。
有名どころでは、
ほしのあき、
熊田曜子、
小森純、
デヴィ夫人、そして
東原亜希といった錚々たる面々がこぞって各種ペニーオークションを推薦しているのである。その他、小悪魔agehaのageモ
百合華など、ファン層に多大な影響を与える有名人が一斉に「オークションで格安で手に入れました」と報告しているのだ。もちろん、これらは自然に流行しているのではなく、明らかに広告エントリーであることが見て取れる。
そもそも、ペニーオークションは「実際には落札できない」ことで有名だ。
激安オークション - 閾ペディアことのはでも詳細に検討したとおり、「平均すれば参加者が確実に負けとなるギャンブル/博打」であって、「安く手に入りました」どころか「多額の手数料を払ったのに全然落札できない」という人が多い。そのために、ペニーオークションを少しでも知る人は詐欺的であると判断するケースが大半のようである。そこで地蔵さんも「ペニオクで確実に落札できる方法!!」という皮肉な表現を使っているわけである。
とすれば、こういったペニーオークションサイトを紹介することは、場合によっては「詐欺的なサイトの片棒を担いだ」という印象を与えかねず、芸能人にとってもイメージダウンだけで済めばよいが......という心配がある。
しかも、ペニーオークションはオークションという言葉を使ってはいるものの、ヤフオクやモバオクといった通常のオークションとはまったく異なる。それを「オークション」と表現することで、ペニーオークションの危険性が伝わらない可能性もある。なお、サイバーエージェント系の「カイドキ」は「オークション」ではなく「エンターテインメントショッピング」をうたっているが、それでもシステムの本質を見誤らせる点では同じことである。
であるから、今回の件は、しょこたん(中川翔子)がヤフオクで本気で「1981年後楽園ゆうえんち下敷き(太陽戦隊サンバルカン)」やら「東映特撮ヒロイン写真集 PINK」やら「セーラームーンSチビウサ看護婦バッグ」やらを落札してブログで大喜びで報告しているのとは、二つの意味で事情がまったく異なるわけである。つまり「通常のオークションではないペニーオークションをオークションと表現して誘導している」「その誘導は宣伝と考えられる」という二点が問題である。
ペニーオークションによる被害が広がらないうちに規制を
雑多なペニーオークションへの誘導spamメールがすでに多く送信されているが、その多くが、「出会えるわけもないサクラだけの出会い系サイト」や、それと抱き合わせになっている「当たるはずもない(抽選資格を得るためには詐欺サイトへの登録必須の)懸賞サイト」とセットになっているようである。
ペニーオークションで胴元いや運営側が儲けるには簡単である。とにかく人を集める。そして数多く入札してもらうことである。入札数が増えればその手数料の合計で充分に利益が出る。充分な入札数があれば、詐欺などやらなくても、落札者一人に安価に商品を渡したとしても儲かる勘定である(その分、落札できなかった人たちは全員討ち死にである)。しかし、入札数を確保するためにサクラやbotを使っている可能性が疑われるサイトも少なくない(
[NS] ペニーオークションでサクラやbotが使用されている証拠など参照)。さらに、利用者には絶対に落札させない仕組みを組み込んでしまうことも技術的には可能である。
ペニーオークションに参入している大手三社は、「落札できなくても、入札額合計の一部を充当して商品を購入できる」という仕組みを導入することで、落札できなかったユーザーの救済措置を施している。だが、逆にいえばそういう仕組みがなければ利用者が丸損するということでもある。
実際のシステムを検討すれば、ペニーオークションはギャンブルであり、賭博であり、博打である。したがって、詐欺を目的とした業者がこれらのシステムで大きな被害をもたらす前に、ペニーオークションそのものを規制する必要があると考える。こんなブラックな「マネーゲーム」には、企業も一般ユーザーも手を出してはならない。