経済・IT【主張】原油高騰 日本も危機感持ち対処を2011.2.6 03:09

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【主張】
原油高騰 日本も危機感持ち対処を

2011.2.6 03:09

 エジプトなど中東情勢の緊迫化で原油価格が高騰している。急激な値上がりは、回復傾向の世界経済に深刻な影響を与えかねない。対岸の火事ではなく、日本も危機感をもって対処すべきだ。

 エジプトのスエズ運河は、欧州向けを中心に日量200万バレル近い原油が運ばれる大動脈だが、政情不安の影響でロンドンの原油先物市場は2年4カ月ぶりに1バレル=100ドルを突破した。

 5日にはエジプトでイスラエル向けの天然ガスのパイプラインが爆発炎上し、さらなる混乱の懸念も広がっている。

 先進国は産油国に増産を促すなど、価格上昇を食い止めるため協調姿勢を示すべきだ。原油や食料などの高騰によって、世界経済が混乱した2008年の轍(てつ)を踏んではなるまい。

 3年前の騒ぎを思い出してほしい。7月に原油先物相場は史上最高値の1バレル=140ドル台を記録し、食料価格が高騰して途上国が食料の輸出を規制するなど大きな混乱が起きた。今回も原油価格の上昇はすでに穀物などに波及し、1月の世界食料価格指数は過去最高を更新している。

 原油高を抑制するためには、石油輸出国機構(OPEC)による原油増産が何よりも効果的だ。OPECは昨年12月に目標生産量の据え置きを決め、現段階での増産には消極的とみられている。先進各国はOPECに増産を求める働きかけを強めるべきだ。

 また、投機資金流入による原油価格の不当なつり上げが起きないようにも警戒したい。今月下旬にパリで開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、実効的な監視体制を検討しなければならない。

 米国が景気下支えのために金融緩和を続けており、余剰資金が原油市場に流れ込んで価格は昨年秋から上昇傾向にあった。そこに中東情勢の不安定化が拍車をかけている。当面は原油高が続くとみて対策を講じるべきだ。

 日本は円高が価格上昇をある程度吸収してきたが、ガソリン代も全国平均で1リットル約138円まで上昇した。これ以上の原油高は景気に深刻な影響を及ぼす。

 日本は消費量の9割を中東産原油に依存する状況にある。菅直人政権は原油高を抑え、安定させるため主導的な役割を果たさなくてはならない。

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