宮崎、鹿児島県境にある霧島山・新燃岳(しんもえだけ)が爆発的な噴火を繰り返している。火山専門家は「少なくとも1~2週間、同規模の噴火を繰り返す」との見通しを示しており、油断できない。
当面最も警戒すべきは、降り積もった火山灰が雨に流されて山麓を襲う泥流や土石流だ。火口から3キロメートルの範囲では高温の灰や軽石、ガスが猛スピードで駆け降りる火砕流の恐れもあるといい、注意を怠れない。
日本列島には108の活火山が集まり、世界有数の火山国だ。2000年に噴火した北海道・有珠山のように、研究者が直前に予測して人的被害を防いだ例はある。一方、死者・不明者43人を出した1991年の雲仙・普賢岳(長崎県)の火砕流のように悲惨な歴史は後を絶たない。
大方の火山では、予測が至難の業であることを肝に銘じるべきだ。政府は3年前に、74年から続けてきた「噴火予知計画」の看板を下ろし、火山活動の把握など基礎研究が主体の観測研究計画に改めた。
予知や予測に頼れない以上、噴火後の的確な情報提供が鍵を握る。気象庁は07年、住民避難が必要かを5段階で示す「噴火警報」を発表する仕組みを取り入れた。新燃岳は今のところ、入山規制はするが避難は求めない「レベル3」だ。
一方で、地元の宮崎県高原町は約500世帯に対し5日夕までの6日間、避難勧告を出していた。市町村がどのような条件で避難の指示や勧告を出し、どう解除するか目安がない。自治体や住民が戸惑わないよう、情報伝達のあり方に工夫が要る。
ほかの火山を含め、事前の備えも抜かりはないか。火砕流や泥流、降灰が予想される地域を示したハザードマップ(災害予測地図)があるのは38火山(10年3月時点)にとどまっている。災害対策の土台となるだけに、国が自治体や研究者を支援して地図作りを急ぐべきだ。
火山災害の危険が高い地域では本来なら、観光施設や産業施設などの立地は避けるべきだ。しかし活火山でも静穏期が数千年続くことがあり、リスクを忘れがちである。
人知を超える火山と共生し、被害を最小限に抑える「減災」の知恵を絞りたい。
活火山、火山、噴火、専門家
日経平均(円) | 10,543.52 | +112.16 | 4日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 12,092.15 | +29.89 | 4日 16:30 |
英FTSE100 | 5,997.38 | +14.04 | 4日 16:35 |
ドル/円 | 82.21 - .24 | +0.62円安 | 5日 5:48 |
ユーロ/円 | 111.68 - .72 | +0.54円安 | 5日 5:48 |
長期金利(%) | 1.280 | +0.045 | 4日 17:50 |
NY原油(ドル) | 89.03 | -1.51 | 4日 終値 |
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載 詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)