あかつき:金星軌道入り、まだ確認できず

2010年12月7日 20時20分 更新:12月8日 0時19分

金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の想像図=作画・池下章裕さん JAXA提供
金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の想像図=作画・池下章裕さん JAXA提供

 今年5月に打ち上げられた金星探査機「あかつき」が7日、金星から約550キロの地点に達し、金星の周回軌道投入に向けエンジン逆噴射を実施した。逆噴射は予定通り始まったが、直後に通信トラブルが発生。あかつきの姿勢が乱れていることも分かり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は復旧に全力を挙げている。あかつきが予定通りの軌道に入ったかどうかは分かっていない。

 JAXA宇宙科学研究所(相模原市)の運用管制室では7日午前8時52分、あかつきの減速を確認。通信にかかる時間(片道3分35秒)を差し引くと、ほぼ予定通りの同8時49分ちょうどに逆噴射を始めたことを確認した。

 逆噴射後間もなく、あかつきは金星の陰に入り、通信が中断。しかし、再開予定時刻(同9時12分)を過ぎても中断は続き、約1時間半後の同10時28分にようやく通信が再開した。

 JAXAによると、非常時用のアンテナを使って地球との通信を維持している。あかつきは現在、太陽電池パネルを太陽に向けて電力の確保を最優先とし、必要最小限の機能だけを保持する「退避姿勢」と呼ばれる状態にあり、姿勢を保つため約10分間に1回の速さでゆっくりと回転している。通信も不安定で、現在のあかつきの位置や速度を割り出すデータは十分に得られていない。JAXAは午後5時から、あかつきのアンテナが地球を向いた状態で回転を止め、姿勢を安定させる試みを続けている。JAXAは「姿勢制御できず放電する危機からは免れており、まだ望みはある」と説明している。

 あかつきは打ち上げ以来、金星を全速力で追いかける形で飛行し、約5億キロを旅してきた。金星の周回軌道に入るには、秒速37キロから同36キロ程度に減速し、金星の重力にとらえられる必要がある。減速する逆噴射のタイミングは一度きりで、今回の計画最大の「難所」だった。

 日本は98年に火星探査機「のぞみ」を打ち上げたが、火星の軌道投入に失敗した。再起をかけたあかつきの軌道投入が成功すれば、日本初の惑星探査機として謎の多い金星の気象観測が実現する。【山田大輔】

top

PR情報

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド