あかつき:通信が回復 金星の軌道投入を確認中

2010年12月7日 11時17分 更新:12月7日 13時13分

金星探査機「あかつき」の逆噴射が確認され、笑顔を見せるプロジェクト代表者の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の中村正人教授(中央)ら=2010年12月7日午前9時4分、相模原市のJAXA宇宙科学研究所(代表撮影)
金星探査機「あかつき」の逆噴射が確認され、笑顔を見せるプロジェクト代表者の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の中村正人教授(中央)ら=2010年12月7日午前9時4分、相模原市のJAXA宇宙科学研究所(代表撮影)
あかつきの飛行経路のイメージ図
あかつきの飛行経路のイメージ図

 5月に打ち上げられた金星探査機「あかつき」が7日午前、約5億キロの旅を終え、地球の隣の惑星、金星から550キロの地点に達し、金星の周回軌道投入のためのエンジン逆噴射を実施した。直後から予定時間を大幅に超えて通信できないトラブルが起きたが、約1時間半後に通信は回復した。金星の周回軌道に投入できたかどうか、確認を急いでいる。軌道投入に成功すれば、日本初の惑星探査機として、謎の多い金星の気象観測を始める。

 相模原市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所では7日午前8時52分、あかつきの減速を確認。通信にかかる時間(片道3分35秒)を差し引くと、ほぼ予定通りの同8時49分ちょうどに逆噴射を始めたことを確認できた。

 あかつきは逆噴射後間もなく、地球から見て金星の裏側に入ったため通信が途絶。しかし再開予定時刻(同9時12分)を過ぎても再開しなかったため、管制室は緊迫した空気に包まれた。通信は同10時28分に回復したが、あかつきから届く情報が少なく、探査機の状態は分かっていない。

 あかつきは打ち上げ以来、金星を全速力で追いかける形で飛行してきた。金星の周回軌道に入るには、秒速37キロから同35キロに速度を落とさなければならない。減速する逆噴射のタイミングは一度きりだ。

 日本は98年に、火星探査機「のぞみ」を打ち上げたが、火星の軌道投入に失敗、探査にはいたらなかった。金星に探査機を送るのは、米国、旧ソ連、欧州に続いて日本が4番目。61年のベネラ1号(旧ソ連、失敗)以来28機目となる。【山田大輔】

 ◇「あかつき」とは

 日本初の金星探査機。5月21日、鹿児島県種子島からH2Aロケットで打ち上げられた。縦横約1.4メートル、高さ約1メートルの箱形で、重さ約500キロ。2枚の太陽電池パネルを翼のように広げ、約5億キロを飛行して金星に到達。金星の周りを回る楕円(だえん)軌道に乗り、金星上空約300~約8万キロと近づいたり離れたりしながら、1周約30時間で周回し観測する。設計寿命は約2年間。衛星本体の開発費は146億円、打ち上げ費用も含めると約250億円。

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