対北食糧支援めぐり米国に新たな動き(下)
また北朝鮮は、世界食糧計画(WFP)や食糧農業機関(FAO)に対し、食糧の状況の追加調査も要請した。VOAは4日、両機関が今月10日から約1カ月間にわたり、現地で合同調査を行う予定だと報じた。両機関は昨年9月、北朝鮮の食糧の状況を調査した。FAO側は「北朝鮮による要請の理由は正確には分からないが、このように追加の現地調査がなされるのは初めて」と語った。
米国が今後の6カ国協議や米朝対話で主導権を握るため、事前に食糧支援カードをちらつかせているという分析も出ている。キム・ヨンヒョン東国大教授は「食糧支援カードは、米国が主導的に対話を進めていくための“潤滑油”の役割を果たす。米国が、北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議が再開される可能性を考慮し、橋を架けているようだ」と語った。
一方、北朝鮮が態度を変え、監視を受け入れるとする理由については「単なる食糧難のせいではないようだ」という分析が支配的だ。北朝鮮は毎年、食糧需要(約550万トン)に比べ生産量(約400万トン)が100万トン程度少なく、慢性的な食糧難に苦しんできた。金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権時代には、不足分のうち30-40万トンを韓国から受け取り、残りは米国や中国などの支援で埋め合わせていた。李明博(イ・ミョンバク)政権発足後には、韓国からの食糧支援中断で中国への依存度が高まり、昨年は軍糧米の倉庫(2号倉庫)を一部開放して、食糧がない春の時期を乗り切った。
韓国政府の当局者は「現在、韓国が確保している情報では、北朝鮮の食糧事情が大幅に悪化したというものはない」と語った。北朝鮮の食糧難は今年も続くだろうが、耐えられないレベルではないということだ。この当局者は「例年に比べ悪化したというわけでもないのに、北朝鮮がしきりに食糧をねだる理由が謎だ。軍糧米の備蓄など、別の目的があるのではないか」と語った。ワシントンの外交消息筋は「北朝鮮は“強盛大国元年”と宣言した2012年を控え、それを誇示するイベントや、住民に配るプレゼントなどを準備するため、食糧を備蓄しようとしている可能性が高い」と語った。
ワシントン=イム・ミンヒョク特派員
李竜洙(イ・ヨンス)記者