スポーツ【産経抄】2月6日2011.2.6 03:17

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【産経抄】
2月6日

2011.2.6 03:17

 大相撲が行われる国技館は戦後ずっと、東京都台東区の蔵前に建っていた。蔵前とは幕府が米を貯蔵する「御蔵」の近くだったことからついた地名だが、実は大阪にも蔵前があった。ミナミの南海電鉄難波駅の辺り一帯で、昭和55年ごろまでそう呼ばれていた。

 ▼名前の由来も東京と同じく近くに「御蔵」があったためだという。その大阪の蔵前のはずれに今も建つのが大阪府立体育会館、つまり大相撲春場所の会場だ。こちらの蔵前も毎年3月になれば、相撲を見にくる人や力士たちでにぎわいをみせてきた。

 ▼加えてここには大阪球場もあった。昭和の末まで南海ホークスの本拠地だった。かつての南海は杉浦忠投手や野村克也捕手らを擁する強豪で、阪神と並ぶ関西の人気チームである。毎年3月末に行われる巨人とのオープン戦は超満員になったそうだ。

 ▼「巨人戦と春場所が重なる日は、蔵前が一年で最もにぎわう時でした」。地元にはそう懐かしむ人が多い。その南海ホークスは経営不振で売却され、大阪球場も今は商業施設に生まれ変わっている。その後の「蔵前の春」は大相撲が守ってきたといえる。

 ▼だが今年その春場所開催も中止が確実になった。十両力士らによる八百長相撲が発覚、興行より真相解明が先だとの意見が強いからだ。場所中止は終戦直後の昭和21年夏場所以来になるといい、大相撲もいよいよ土俵際に追いつめられてきた。

 ▼八百長はファンに対する重大な背信行為である。今ウミを出し切らなければ再興も難しいから、中止もやむをえないというのもわかる。だが1年間楽しみにしてきた浪速の人たちの気持ちや、蔵前の灯が消えたようになることを思えば胸が痛む気もする。

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