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きょうのコラム「時鐘」 2011年2月6日
戦時中、勤労動員で愛知県へ送り出された金沢の画学生・鴨居玲に、炎上する名古屋城を描いた異色作がある。米軍の空襲で焼け落ちる天守閣を妖しく描いている
尾張なごやは城で持つ。江戸期に建った名城は長く城下町名古屋の金看板だった。現在の県庁も市役所も、近代的なビルの上に城郭ふうの屋根をのせた和洋折衷建築である。昭和初期に流行した「帝冠様式」という さて、時は平成。県庁も市役所も戦国下克上のような「トリプル」選挙に燃えている。民主党も自民党も「首長新党」に戦々恐々。敵と味方の関係を示す相関図には大阪府知事までが登場して、地元有権者以外には何が何やらよく分からない 炎上する名古屋城を描いた鴨居玲は後に、深い人間洞察からピエロが登場する名作を描き続けた。今の候補者がピエロに見えるというつもりはないが、政治家のパフォーマンスに有権者が振り回されているようにも映る 大都市行政をどうするかの問いかけを秘めた選挙なのか。名古屋だけの特異な選挙なのか。新しい地方自治の始まりとなるのか、混迷のおわりとなるのか、見守りたい。 |