2010年10月6日10時20分
家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)の終息を受け、農林水産省は6日、国際獣疫事務局(OIE、本部・パリ)に対し、口蹄疫の発生がないと確認された「清浄国」の認定を申請した。来年2月に開催予定のOIE科学委員会で清浄国と認められれば、現在大半が止まっている食肉の輸出が順次再開できる見込みだ。
国内では4月20日、宮崎県都農(つの)町で口蹄疫の疑いのある牛が見つかり、日本はOIEによって「非清浄国」とされた。7月5日に感染が疑われた家畜の最後の殺処分が終わり、以後3カ月間新たな発生がなければ申請できるというOIEの規定に基づいてこの日、清浄国認定を申請した。
食肉などの輸出入の可否は二国間の協議で決まるが、OIEが清浄国と認定すれば、各国とも日本からの輸入再開を認めるとみられる。
4月の口蹄疫発生を受け、各国への輸出は停止。畜産がほとんど行われず、口蹄疫の危険性が少ない香港とマカオが5月に認めるなど一部は復活したが、ベトナムや米国など主要国向けは止まったままだ。日本も中国や韓国などの非清浄国からは加熱肉などを除き、食肉を輸入していない。
農水省によると、日本の輸出量は牛肉が565トンで37億7100万円分、豚肉が2169トンで3億7300万円分(いずれも2009年)。国内生産は牛が36万3千トン、豚が88万2千トンあり、輸入も同程度ある(いずれも08年度)のと比べ、輸出量が国内生産に占める割合はわずか0.2%だが、07年度から北米やアジア向けの輸出が急激に伸びた。不況で高級和牛の国内消費が低迷する中、政府は海外に市場を求めて売り込みを図っている。
近江牛や松阪牛など高級な霜降り牛肉「WAGYU(和牛)」の浸透を図るさなかの口蹄疫発生だったが、8月末に宮崎県が終息を宣言。農水省は清浄国復帰を足がかりに各国との交渉を進め、和牛ブランド復活をねらう。(大谷聡)