梅雨の中休み、荒船山・御岳山・兜岩山へ

日程:2008年6月17日〜6月18日
メンバー:L 石毛航太郎 SL 岩橋大悟 M 石井修平



荒船山(1422.5b)の艫岩


プロローグ

6月、梅雨、真っ只中。しかし、天気予報は晴れ。
妙義山に登る予定を前日に急遽変更。
(天気予報が晴れだったからではない)
リーダー命令!
荒船山・御岳山・兜岩山へ

聞いたことすらない…
いったいどんな山なんだ?

とりあえず、17日、21時45分、国分寺駅南口集合





内山峠にテントを張って酒を飲む
(カーソルを写真の上に載せてください)

6月17日[1日目] (国分寺==内山峠駐車場) 天候:曇り

もう少し、荒船山のことを、御岳山のことを、そして、兜岩山のことを事前に下調べすることができていたらと思うと。。

今となってはあとの祭りだ…
(読んでいけばわかる)

とにかく、国分寺駅南口に3人の男たちが集合した。修平さんとはホント久しぶりの再開だった!

石毛さんの愛車MARINOに乗り込み、入間ICから関越道〜上信越道を飛ばして下仁田ICまで。下仁田ICからはR254を佐久方面へ内山峠というところまで。内山峠が今回の登山の起点&終点だ。

日付も変わって18日の0:30内山峠着。内山峠はつめれば20台くらい車がとめられそうな駐車場になっている。この日は、他に車はなく、ガスも立ち込め、なんだか薄気味悪かった。

車の横にテントを張って、買い込んだ酒を嗜み、寝たのは3時近かったか。いやいや、3人で、とても楽しい夜だった。


6月18日[2日目] (内山峠駐車場==一杯水==荒船山艫岩==経塚山分岐==星尾峠==御岳山==兜岩山==御岳山==星尾峠==経塚山分岐==荒船山艫岩==一杯水==内山峠駐車場) 天候:晴れ

5:30起床が全員一致で6:00となり、全員が起き上がったのは6:10だった。テント撤収して、着替えて、体操して、出発は7:07。

駐車場横の登山口から入山する。どうやら、ここら一帯は、妙義荒船佐久高原国定公園に指定されているらしい。自然公園法で守られている立派な保護区域内だ。しかし、今回登る山が、国定公園の名前を飾っているとは…。荒船山というのは相当有名な山らしい。

登山口には、「熊出没注意」の看板がある。今回は、いちおう、熊よけの鈴を携帯した。

登り始め、登山道はしっかりと整備されている。が、しかし、異様にくもの巣が多く、まるで行く手を阻むかのように、私の顔に引っ付いてくる。SLとして先頭を歩いている私がもろに被害を被るのだ。やんなる。

出発時も周囲はガスに包まれていたものの、日が高くなるにつれて、ガスもとれ、空には青空も見え始めた。木々の切れ間から覗く山々がきれいだった。妙義山のほうだろうか。これから登る荒船山の艫岩も雲に浮かんで見えてきた。登山道は途中、崩落している箇所が一箇所あったものの、すでにロープが張られている迂回路ができていた。さほど危険なところはない。ただ、群馬県側は基本的に切り立っているので落ちたらまっさかさま。きれいな展望にうとれて身を乗り出さないように注意したい。



出発前の記念写真


崩壊してた道の迂回路を登る


木々の切れ間から覗く上州の山々


雲に浮かぶ荒船山の艫岩

(どの写真もサムネイルになっている)

ところで、40分ほど登ったところだったか、「ここが一杯水なのか?」「いや違うと思うぞ」と、怪しんだ場所に出た。おっきな岩の塊が立ちふさがってて、洞窟のようにもなっている。風化したお地蔵さんらしきものも。お賽銭も。まるで、槍ヶ岳は坊主ノ岩小舎の巨大バージョン。
あとで、インターネットで調べてみたところ、ここは、どうやら「狭岩修験道場跡」というとこらしく、その昔、この山いったいは、山岳信仰、修験道がとても盛んだったようだ。確かに、その名残としてか、登山道脇には、直径60p程の門柱の沓石がふたつあった。

このことは、これから登る御岳山にも言えることなのだが、荒船山いったいの山々の、山岳信仰、修験道の山としての歴史を事前に知っていて勉強していたら、今回、もっともっと興味深い登山ができたと思う。それを思うと本当に心底悔やまれる。この場所が最初から「狭岩修験道場跡」ということを知っていたら、きっと、もっと違った思いでこの場所を踏みしめることができたと思う。これは、この山に限ったことではなく、どの山でも言えることだ。少なくとも私の場合は…。

「狭岩修験道場跡」を過ぎ、しばらく歩くと、本物の「一杯水」という水場に着いた。立派な立て看板が立っていた。さっそく、飲む。うん、とっても軟らかい水だ。先月飲んだ空木岳の水とは全然違う。美味しさに優劣は付け難いが、山で飲む山の水の美味しさはどこでも格別だ。

「一杯水」を過ぎると、若干、登山道も傾斜を増し、荒船山へとだんだん近づいてる感じがしてくる。登りきり、台地になれば、そこが荒船山の頂上界隈だ。ほどなく、避難小屋が現れ、その近くに艫岩展望台という開けた展望台がある。上州の山々、浅間山、遠く北アルプスまでの大展望。他に登山者はなく、私たちの独占だった。艫岩展望台9:15着。艫岩展望台は絶壁の上の展望台。下を覗き込むと、思わず足が竦む。




荒船山の艫岩展望台にて。すぐ後は絶壁まっさかさま。右奥が浅間山




荒船山の甲板部分。約2`も台地上の道が続く


なぜか、蝉がものすごい勢いで鳴いていた。聞いたことのない鳴き声だった。見たことのないくらい小さな蝉だった。抜け殻もあちこちにあった。なんという蝉だろうか?

荒船山の甲板部分、台地上の登山道はとっても歩きやすく、ハイキング気分。途中、シカも見かけた。だいぶ、皮が剥ぎ取られていた木が目立ったが、シカの仕業だ。ここもシカの食害が問題になっているのであろうか。

それと、なんだか石碑みたいなのも見つけた。いったい何の名残なのだろうか。いろいろと文字が書かれていたが、解読できなかった。

しかし、あろうことか、どこが荒船山の山頂なのかわからない。この艫岩展望台には、方位盤が設置されており、その真ん中には荒船山山頂と書かれているものの、なんだか怪しい…。地図を見ると、この先に経塚山という山のピークがあって、三角点もあり、標高は1422.5bとある。でも、あくまで名前は「経塚山」。荒船山とは別物であろうと…

下調べ不足の極みだったと言ってよい。この「経塚山」のピークこそが荒船山の最高地点だったのだ。つまり、経塚山は荒船山に内包されている山ということだ。

私たち3人、結局、今回、この経塚山のピーク、踏んでいません(+o+)

なお、艫岩展望台の「艫」とは、船の船尾のこと。荒船山は南北2`、東西400bの台地上の山なのだが、どうやら艫岩展望台から約2`先の経塚山のピークが船首のようなのだ。荒船山とは、荒波を割って進む船を思わせることから、荒船山の名前が付いたらしい。。
中嶋豊さんのサイト「信州山歩き地図(マップ)」に掲載されている写真が、荒船山をまさに表現している写真なので、ちょこっとお借りしたいと思います。中嶋さん、無断でお写真をお借りしてしまって大変申しわけございません。問題であれば、すぐに削除いたしますので、よろしくお願いいたします。


中央の台地上の山が荒船山。荒船山の左端が艫岩。右端が経塚山。
本当に一隻の船のようにみえる。
なお、写真一番右端の山が兜岩山。その左となりの山が御岳山



たたずむ石碑

ちょうど、この石碑が荒船山甲板の真ん中あたりだと思う。そこから、同じように平坦な道をしばらく歩くと、経塚山と星尾峠の分岐だ。

経塚山までは分岐から往復20分。この山が荒船山の一部だということを認識していたら、おそらく、時間を惜しまず登りに行ったような気がするが、というか、もしその事実を知っていれば、どんなにLが「行かん」と言っても、SLの私が食い下がっただろう(笑) とまぁ、とにかく残念無念。

経塚山へ思いを馳せることもなく、星尾峠へと舵を取り、御岳山、兜岩山を目指す。

地味にここから、しんどくなる。アップダウンの連続。御岳山の登りがだいぶしんどい。危険な箇所はあまりないが、落ち葉が敷き詰められた急登が続く。3人とも「ヒーヒー」言いながら登る。御岳山には、祠と、なんだか面白い顔をした石仏が2体。せっかくなので写真をとる。

ところで、この御岳山の頂上には、この2体の石仏のほかに、木曽の御岳山の方を向いて、「神様の分身」といわれる像があったらしい。昔、遠く木曽御岳まで行けなかった信者が、この山に神様の分身を祀って、信仰したのだそうだ。しかし、そんな像あっただろうか?3人とも疲れ果てて、山頂をあまり見渡さなかったのが悔やまれる。ちなみに、御岳山の山頂は登山道から少し離れたところにある。展望はきかない。

御岳山の到着は11:00。11:10発。


御岳山の頂上で2体の石仏と
(サムネイルになっています)

御岳山をあとにして、兜岩山を目指す。あいかわらず小刻みなアップダウンを繰り返す。道は悪くない。ただ、帰り、同じ道を通ると思うと気が重い。

ローソク岩のトラバース手前の尾根はとても細い。落ちないように注意。ただ、展望はとても良い。トラバースはトラバースで上からの落石が怖い。ここは道もけっこう細かった。途中、腐りかけの板の橋もある。通る時は一人ずつ。

兜岩山と田口峠の分岐まで御岳山から30分くらいだったか。この分岐からは笹薮がひどい。今回はヤブ漕ぎとまではいかなかったけれど、もう少し笹が成長してしまうとヤブ漕ぎになる。

分岐から10分くらいで兜岩山(1368.4b)に到着。CTより少し早く12:50着。展望はなし。エアリアに頂上から南西に150b大展望と書かれているので行ってみると、確かに展望はいいが、荒船山とか御岳山とか、ここまで登ってきた山々をみることはできない。佐久の街並みがみえた。霞んでて遠くまでみえなかったけれど、霞がなければおそらく八ヶ岳の方向の山々がきれいにみえたんだと思う。しかし、山々の緑がとてもきれいだった。

兜岩山の山頂に戻り、ゆっくりとお昼にする。お昼はレトルトのカレーだ。若干一名、自分でカレーを提案しておきながら愛妻弁当を持参してきたこんにゃろーがいたけど(笑) そんな愛妻弁当をみんなでとても美味しくいただきながらも、カレーも食べる。レトルトカレーも山で食べれば美味さ倍増。美味かった。ちなみに、コーンを入れてコーンカレーにした。完熟トマトのポタージュスープつき。

13:30。下山開始。来た道を戻るのみ。愛妻弁当&カレーを食べて元気を取り戻した?!3人は、ペースをあげて、荒船山の艫岩展望台まで1時間15分。内山峠の駐車場には15:45に着いた。

今回の山行もなかなか良い山行だった。なによりも、静かな山だった。行きも帰りも、誰にも会わなかった。いろんなHPをみていると、荒船山はとても人気な山らしいから、週末とかはたくさんの人が訪れるのかもしれないが、それでも、御岳山や兜岩山は静かな山らしい。静かな登山が好きな人には良い山かもしれない。

帰り、神津牧場に立ち寄ってソフトクリームを食べて、荒船の湯に浸かって、トンカツを食べて東京へ。

石毛さん、修平さん、今回もお疲れさまでした(^^ゞ


中央奥の山が経塚山か!?
ローソク岩の手前の尾根上より
(サムネイルになっています)


緑深き山々
ローソク岩の手前の尾根上より
(サムネイルになっています)


兜岩山の山頂にて
石毛さんの顔が硬い(笑)
(サムネイルになっています)


お昼につくったコーンカレー
完熟トマトスープとともに
(サムネイルになっています)


帰り道、御岳山の登りで
叫ぶ石毛航太郎!!
(サムネイルになっています)


帰り道、荒船山の甲板で、
きれいな花が咲いていた
(サムネイルになっています)


下山後の記念写真
(サムネイルになっています)




ちょこっと補足 (あくまで参考程度にお願いしますm(__)m)
                                              総荷物量:約6`
@ コースとタイム
<1日目>
国分寺駅(21:45)---内山峠駐車場(0:30)  【テント】
<2日目>
内山峠駐車場(7:07)===一杯水手前(8:10-8:25)===荒船山艫岩展望台(9:15-9:40)===御岳山(11:00-11:10)===兜岩山(11:50-13:30)===御岳山(13:55)===荒船山艫岩展望台(14:45-15:00)===内山峠駐車場(15:45)---西国分寺駅  【解散】


A 山ご飯
<1日目>
夜:お酒と肴
<2日目>
朝:おにぎり 昼:石毛さんの彼女なっちゃんの愛妻弁当とレトルトカレー 


B 結論
梅雨の中休み、しかも、平日。とても静かな山だった。登っていて聞こえてくる音といえば、蝉の音と、R254を通る車の音くらい。車の音はなきゃないほうがいいけれど決して耳障りなほどではない。たかだか1400b前後の山々なので、基本的に樹林覆われている。展望はあまり期待できないけど、艫岩展望台からの眺めは見ごたえがあった。夏は蒸し蒸しと暑そうだけれどそんなことはないのか?!登るなら春か秋がいいような気がする。荒船山なら、登山経験が少ない人でもお手頃な山だろう。経験者に連れて行ってもらえば登山未経験者でも登れる山だ。御岳山、兜岩山も、道はしっかりしているので問題はないだろうが、少し物寂しい雰囲気が漂っている。また、途中、切り立った細い道もあるので注意が必要だ。
下山した後は、もう来ることはないかなぁとか思っていたけれど、こんなにも山岳信仰に篤い山だったという歴史を知ってしまうと、また訪れてみたい山である。山と人、自然と人の営みが昔から育まれていた山。それが荒船山であり、御岳山であり、兜岩山なのだろう。


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