【パリ=清水俊郎】フランス上院は二十五日、国際結婚が破綻した夫婦の一方が相手に無断で子どもを自国に連れ去った際、子どもを元の居住国に戻す原則を定めた「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」に早く加盟するよう日本政府に要求する決議案を賛成多数で採択した。
決議案を作成した社会党のユング上院議員によると、欧米人の夫と別れた日本人の妻が子どもをひそかに日本に連れ帰り、夫と子どもの面会も拒否するケースが増加。フランスでは約百例あり、この半年で仏人男性二人の自殺につながった。米下院も昨年九月に非難決議を採択した。
日本政府は条約加盟を目指す方針を既に打ち出しているが、夫の家庭内暴力で帰国した妻が子どもとともに夫の国に戻らざるを得ないようなケースも想定され、慎重論も根強い。
ユング議員は審議前の記者会見で「家庭や親子関係に関する日本人の伝統的な考え方が欧州と異なることは尊重するが、改革されるべきだ。両親が別れても、両親の双方と子どもの絆は保った方がいい」と主張した。
この記事を印刷する