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ついに"ミニシアター文化"の終焉!? シネセゾン渋谷閉館、業界は再編成へ

ついに
 映画興行界の再編成が、地響きを立てながら進んでいる。ミニシアターの激戦区だった都内渋谷地区で、その変動が顕著に現われた格好だ。角川シネプレックスが経営する「恵比寿ガーデンシネマ」が1月29日(土)で実質上閉館。東京テアトルが経営する「シネセゾン渋谷」も2月27日(日)で26年間の歴史に幕を降ろす。2009年10月には「ヒューマントラストシネマ文化村通り」(旧「シネ・アミューズ」)が閉館。エッジの効いた作品を上映することで知られた「シネマライズ渋谷」は10年6月にそれまでの3スクリーンから1スクリーンに縮小し、同年9月には「渋谷シアターTSUTAYA」(旧「Q-AXシネマ」)がわずか2年で閉館となった。国内にいながら世界各国の秀作映画を見ることができると言われた日本の"ミニシアター文化"は危機的状況に追い込まれている。厳しいのは都内のミニシアターだけではない。全国でシネコンを運営する東映系のティ・ジョイはすでに全劇場の全スクリーンのデジタル化を終え、TOHOシネマズも全スクリーンのデジタル化を11年内に完了する。劇場のデジタル化には1,000万〜2,000万円を要すると言われ、設備投資できない個人経営の既成館は淘汰されることになる。

 リュック・ベッソン監督の『レオン 完全版』(96)、岩井俊二監督の『PiCNiC』(96)、山下敦弘監督の『リンダ リンダ リンダ』(05)など幾つものロングランヒット作を送り出し、渋谷文化の一角を支えてきた「シネセゾン渋谷」だが、どのような経緯で閉館が決まったのか。支配人・野崎千夏さんと同劇場の他にも「テアトル新宿」「銀座テアトルシネマ」「テアトルダイヤ」「キネカ大森」などを運営する東京テアトルの広報担当・高原太郎さんに、ミニシアターの現状と今後の在り方について語ってもらった。

野崎「08年4月にテアトル新宿からシネセゾン渋谷に移り、支配人になったのは09年6月なので、まだあまり日は経ってないんです。ミニシアターの興行が難しくなっていることは分かっていましたが、09年は年間を通して観客動員は好調だったので、『大丈夫、まだまだ行ける』と思っていました。でも10年になるとジワジワと厳しさを実感しました。閉館することを本部から聞かされたのは、ほんと最近なんです。支配人の私が落ち込むと、スタッフに影響が出るし、それに忙しいので落ち込むヒマもなかったんですけど、内心は正直ヘコみましたね(苦笑)。12月に上映した『キック・アス』は平日も満席になるほど大盛況でしたが、年末に閉館の噂を聞きつけたお客さまから『閉館するって本当ですか?』という問い合わせをツイッターなどで多数いただき、正式発表が1月6日と決まっていたのでお答えできずに申し訳ない気持ちでした」

 閉館の内情を説明してくれたのは、東京テアトルの経営企画室に所属する高原さん。高原さんも以前、シネセゾン渋谷の劇場スタッフとして勤務していたこともあり、思い入れのある劇場である。

高原「シネセゾン渋谷は90年代には年間30万人を動員していましたが、00年代に入ってからは15万〜18万人と動員数が減っている状態でした。私たちとしては、"ミニシアター文化"はすでに終わったという認識なんです。シネセゾン渋谷の動員数はミニシアターとしては、かなり良い安定した数字でした。しかし、当社としてはこれからの時代、お客さまのニーズに応えていくには複数スクリーンの上映館が渋谷には必要だと考え、08年12月に3スクリーンを有する『ヒューマントラストシネマ渋谷』(旧『アミューズCQN』)を当社の傘下に加えました。従来の形での1スクリーンでの単館上映は難しくなっているという流れの中で、シネセゾン渋谷とヒューマントラストシネマ渋谷を統合するという形に踏み切ったんです」

 シネセゾン渋谷はセゾングループのミニシアターとして、フェデリコ・フェリーニ監督作『そして船は行く』(83)をオープニング作品として85年11月に開館。その後、テアトルシネマ系列となってからも良質のアート系作品を上映してきた。90年代後半に入ってからは、コメディー映画『オースティン・パワーズ』(97)などエンタテインメント系の作品に軌道修正し、ゲストを呼んでのレイトショーやオールナイト特集上映にも力を入れてきた。しかし、ここに来て興業形態そのものを見直す必要に迫られることに。高原さんはミニシアター興行の変容をこう分析する。

高原「80年代〜90年代にいわゆる"ミニシアター文化"と呼ばれたものは、監督の名前や海外の映画祭で賞を獲ったという作品を、ひとつの劇場であまり宣伝費を掛けずに長期間にわたって上映するという形だったと思います。しかし、洋画の買い付け価格が上昇し、シネコンも増え、それに伴って宣伝費も掛かるようになりました。そのため、なるべく短期間で費用を回収しようとスクリーン数を増やし、作品が短命化するようになっていったんです。ひとつの劇場でのロングラン上映という従来の形態が難しくなった。それに加え、お客さまの嗜好が変わってきたこともあるかと思います。若い方はアート系作品よりもストーリー性の強い作品を好まれる方が増えてきています。お客さまの年齢層が上がってきたこともあり、以前のようなレイトショーやオールナイト上映も難しくなっていました」

 また、新宿地区に07年2月に「新宿バルト9」(ティ・ジョイとTOHOシネマズの共同運営、9スクリーン)、08年7月に「新宿ピカデリー」(松竹運営、10スクリーン)と大型シネコンが出来て以降、渋谷地区の観客動員が年々10%減り、逆に新宿地区は10%ずつ増えていると東京テアトルでは調査分析している。シネコンが全国に有するスクリーン数は10年12月の時点で2,774。日本の総スクリーン数3,412の8割以上を占めるまでになっている。インディペンデント作品を上映するミニシアターが生き残る道はないのだろうか?

高原「当社では系列の劇場を使ってチェーン公開することが多くなっていますが、ミニシアター的な興行の可能性が今後もないわけではありません。テアトル新宿で10年に公開した若松孝二監督の『キャタピラー』、銀座テアトルシネマで公開したミヒャエル・ハネケ監督の『白いリボン』は予想を上回るヒットを記録しています。シネセゾン渋谷で公開した『キック・アス』や『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のようなこれまで"洋画のコメディーはヒットしない"と言われていた作品もヒットするようになってきています。今のお客さまは、良い意味で、宣伝では騙せない。本当に良い作品を、きちんと選定して上映することが大事だと考えています。また、『四畳半神話体系』(フジテレビ系)といったアニメ作品はシネセゾン渋谷でのオールナイト上映が満席になるほどの反響がありました。アニメや音楽作品は、コアなファンが少なくない。そのためにも複数スクリーンが必要だと考えています。シネコンの100〜200席あるスクリーンでは上映できない作品でも、ヒューマントラストシネマ渋谷には200席、183席、60席と3スクリーンあるので、コアなファンに対応できますし、良質の作品を長く上映することも可能なはず。当社としては大手チェーンとは違った独自色を出してくつもりです」

 もう一度、野崎支配人にコメントを求めよう。野崎支配人は、学生時代に「銀座テアトル西友」(現「銀座テアトルシネマ」)で大ヒットしていた『ユージュアル・サスペクツ』(95)を鑑賞して、そのとき劇場で感じた熱気を東京テアトルでの入社面接の際に語っている。お客との距離が近いミニシアターの空間を愛する支配人なのだ。

野崎「満席の劇場で見ると、同じ映画でも印象がまるで変わりますよね。『ユージュアル・サスペクツ』は通路に座っての鑑賞だったんですけど、お尻の痛さが気にならないくらいスクリーンに夢中になりました(笑)。特にコメディーは劇場で見ると、面白さが倍増します。『キック・アス』の盛り上がりは本当に素晴らしかった。現在上映中の『デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断』も脚本がよく練られている良質のコメディーです。観客動員は苦戦していますが、見た方の満足度はかなり高いはず。DVDやケータイの配信で映像を見ることができる時代ですが、劇場で映画を見る楽しさを思い出して欲しいです。『シネセゾン渋谷の閉館、残念です。でも、自分もここ10年ほど行ってなかったなぁ』という声をツイッターでいただいています。そういう方たちにも、ぜひもう一度足を運んでいただきたいですね」

 2月5日(土)〜27日(日)、シネセゾン渋谷では「クロージング特別上映」と銘打って、シネセゾン渋谷で上映された代表作を中心に、ミニシアター系作品を上映する。閉館が決まってから、野崎支配人が本部の編成担当と相談してセレクトしたもの。閉館を聞きつけて連絡してきたシネセゾン渋谷の元従業員たちのアイデアも盛り込まれているという。

野崎「1週目が音楽もの、2週目がインディペンデント系の洋画、3週目が日本を代表する若手監督たちの青春映画、そして最後の2日間がベスト・オブ・ベストというプログラムです。時間がない中で考えたものですが、26年の歴史を持つ当館に相応しい作品をそろえることができたんじゃないかと満足しています(笑)。『人のセックスを笑うな』は19日に井口奈己監督、『リンダ リンダ リンダ』は23日に山下敦弘監督が登壇してくれることが決まっている他、多彩なゲストにお声を掛けているので、楽しみにしてください。"映画館で映画を見るのは、やっぱり面白いなぁ"と思ってもらえるよう、明るく楽しいクロージングにしたいと思っています」

 後日、東京テアトルのおふたりとは別に、他社の配給関係者に映画興行界の今後について聞いてみた。

「業界では、シネコン=アミューズメントパーク化、ミニシアター=美術館化という方向性で生き残りを図っていくことになると言われています。そう考えると、シネコンとミニシアターでは営業形態が大きく異なるので、必ずしもシネコンがミニシアターを制圧するということにはならないはず。もちろん美術館は美術館同士、アミューズメントパークはアミューズメントパーク同士の競争になるので、それぞれの作品選びが重要。業界最大手のTOHOシネマズが3月から入場料を試験的に値下げするように、料金設定も作品ごと、劇場ごとに見直されることになってくるんじゃないですか。シネコンほどの規模もなく、ミニシアターでもない地方の既成館は、厳しい状況になるのは間違いないですね。自治体からデジタル化のための助成金を受けられない映画館は、かなり辛いでしょう」

 劇場のデジタル化が進むことで、プロジェクターの規格はどうなるのか、上映素材の保存方法はどうなるのか、劇場の裏方として活躍した映写技師たちの去就は......といったことも懸念される。映画業界が大きく変わろうとしている。
(取材・文=長野辰次)

●シネセゾン渋谷公式サイト
<http://www.ttcg.jp/cinesaison_shibuya/>
●シネセゾン渋谷公式ツイッターアカウント
<http://twitter.com/cine_saison>



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