2011年2月5日20時19分
取材に答える中沢啓治さん=4日、広島市中区の広島平和記念資料館、加戸写す
広島での被爆体験を鮮烈に描いた「はだしのゲン」で知られる漫画家、中沢啓治(なかざわ・けいじ)さん(71)が、肺がんなどで約3カ月間入院していたことを明かした。4日、朝日新聞などの取材に答えた。中沢さんは同日、広島平和記念資料館(広島市中区)で始まった企画展の開会式に出席し、「なんとか良くなりました」と笑顔を見せた。
中沢さんや妻のミサヨさん(68)によると、中沢さんは息苦しさなどの症状を訴え、昨年9月に広島市内の病院に入院。肺がんと診断された。手術を受けて約1カ月でいったん退院したが、その後も体調を崩すなどして12月末まで入退院を繰り返した。いまは体調が良くなって息苦しさも消えたが、体重は10キロほど減ったという。
「(企画展が)回顧展にならなくてよかった」と冗談めかした中沢さん。白内障に伴う視力の低下で漫画の執筆をやめているが、「僕たちの世代は原爆と戦争の恐ろしさを伝え続けなければいけない」と語り、新たな映像作品の発表に意欲をみせた。(加戸靖史)