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大江の山中でニホンジカ確認 野生か、大正中期に県内絶滅説

2011年02月05日 08:32 
大江町柳川の山中で確認されたニホンジカ=1月29日(庄司光幸さん撮影)
大江町柳川の山中で確認されたニホンジカ=1月29日(庄司光幸さん撮影)
 本県では大正中期に絶滅したとされるニホンジカが1月29日、大江町柳川の山中で確認され、同町職員庄司光幸さん(32)=同町黒森=が、その姿を撮影した。写真を確認した山形大の伊藤健雄名誉教授は、角などの特徴から、4、5歳の雄の成獣と断定した。県内で飼育されているニホンジカはいるが、脱走などの情報はなく、野生とみられる。

 庄司さんは同日午前、知人とスノートレッキング中、沢の近くでニホンジカと遭遇。驚いて逃げ出し、雪の中でもがく姿を持参したカメラでとらえた。県内では昨年10月、村山市内で列車と衝突し、死んだ雄のニホンジカが見つかっているが、関係者によると、県内で野生とみられる個体が生きている姿で確認され、撮影されたのは初めて。

 近年、ニホンジカは生息数の増加で、テリトリーを拡大している。本県同様に、絶滅地域だった福島県ではニホンジカが流入し、高山植物の食害などが問題化している。ニホンジカは雪が苦手で、冬場は雪が少ない場所で過ごすが、今回、確認された一帯は県内屈指の豪雪地域。伊藤名誉教授は「積雪がかつてに比べ少なくなっており、ニホンジカは北上している。今後、さらに雪の量が少なくなれば、いずれ、県内にも多く入ってくる可能性はある」と指摘している。

【ニホンジカ】シカ科。かつては北海道から九州、南西諸島など日本各地に広く生息していたものの、脚が細くて雪に弱い上、本県などの積雪量の多い北日本の日本海側では狩猟などの対象となり絶滅したとされている。北海道のエゾシカはニホンジカの亜種とされ、体格が大きく比較的雪に強いものの、冬季は雪の少ない地域に移動し越冬する。本県でも生息しているカモシカはウシ科で違う属種。
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