事件【産経抄】2月5日2011.2.5 03:06

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【産経抄】
2月5日

2011.2.5 03:06

 かぐや姫が月に去った後、彼女を愛した人々は放心状態に陥る。特に時の帝(みかど)のショックは大きかった。かぐや姫にもらった不死の薬を「こんなもの何になる」と駿河の高い山の上で燃やさせてしまう。そのため、この山からは今も煙が雲間に立ち上っている。

 ▼『竹取物語』の末尾にある富士山をめぐる話である。物語が書かれたらしい平安初期あたり、富士山は活発に噴火していたといわれる。噴煙を上げる姿は京都でもよく知られていたのだろう。古代から切っても切れぬ火山と日本人の縁を伝える話である。

 ▼今、富士山に代わって最も頻繁に噴火を続けているのは桜島だ。鹿児島出身の知人によると高校時代、桜島から船で対岸の鹿児島市に通学する同級生がいた。授業中ドーンという音がして爆発が起きると、同級生は「また小遣いが減る」とボヤいていたという。

 ▼規模の大きい噴火があると、実家の旅館の窓ガラスが割れるなどの被害は免れない。そのしわ寄せを受けてしまうというわけだ。少々マユツバではあるが、火山の麓で生きることの大変さと、それでも生活を続けるたくましさを感じた。

 ▼その桜島から40キロばかり離れた霧島連山・新燃岳で爆発的噴火が起きて10日近くたつ。こちらは52年ぶりで、規模もそのときよりはるかに大きい。しかも連日の噴火がいつ収まるのか、見当もつかない。近くに住む人たちにとって「小遣いが減る」といった問題ではない。

 ▼火砕流などの発生に備え、十分な監視体制が必要だ。農作物の被害には、行政をはじめみんなで支援していかねばなるまい。同時に火山とともに生きるノウハウやたくましさも身につけたい。火山国日本の全ての人に言えることだ。

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