八百長疑惑を受けて日本相撲協会が実施したアンケートについて、協会の外部有識者委員も務めた漫画家のやくみつるさん(51)は4日、名前が挙がっている力士だけの問題に矮小(わいしょう)化されてしまうことを危ぶんだ。「アンケートよりも、協会幹部が過去の八百長を白状し、若手も言い出せる状況をつくらないと真実の解明は進まない」と指摘する。
07年に起きた時津風部屋の力士暴行死事件後も同様のアンケートが配られた。やくさんは当時、アンケートから有益な回答が出なくても、当時は抑止効果を果たしていたと感じたという。
今回のアンケートの表題は「故意による無気力相撲に関する調査」。「八百長」の3文字はどこにもない。内容も「誘いをしたり、誘いを受けたことがありますか」「仲介者はいますか。それはだれですか」などと、子どもに尋ねるような質問が並ぶ。「こう聞くしかないんだろうが、失笑もの。1人でも誰かの名前を挙げて正直に書く人がいればいい。いなければ不自然で、意味はほとんどない」と言い切る。
「一番いい方法は、アンケートよりも、定年間際の理事が八百長を告発し、責任を取って辞めること」と言い切る。角界を去った“過去の人”からの告発はことごとく無視されてきたからだ。「協会は過去を差し出して生き残りを図るか、解体されるか、二者択一を迫られている」と指摘している。