前原誠司外相が、森喜朗元首相と北方領土問題を巡って3日に会談したことが分かった。4日、政府関係者が明らかにした。森氏は前原氏に対し、1956年の日ソ共同宣言に基づき色丹島と歯舞群島については返還を、国後島と択捉島については帰属を並行して協議するよう提案した。会談は10日からロシアを訪問する前原氏の申し入れで行われた。
森氏は首相当時の01年3月、当時のプーチン大統領(現首相)とシベリア・イルクーツクで会談。平和条約締結後の歯舞群島、色丹島引き渡しを目指した日ソ共同宣言と、北方四島の帰属問題を解決して平和条約を締結することを明記した東京宣言(93年)の有効性を確認した。森氏はこの時の会談で、プーチン氏に対し「歯舞・色丹の引き渡し問題と国後・択捉の帰属問題を車の両輪のように協議していきたい」と提案した。
前原氏は森、プーチン両氏のパイプに着目し、メドべージェフ大統領の国後島訪問など強硬姿勢を示すロシアとの交渉について、森氏に伝授を求めたようだ。【中川佳昭】