2011年2月4日15時0分
大相撲力士らによる八百長問題で、日本相撲協会の「八百長アンケート」に、親方や力士らの間で不満が高まっている。昨夏の野球賭博事件の際に実施した同様のアンケートで、正直に回答した者がペナルティーを受けた経緯があるからだ。多くの親方からは「(新たな事実は)何も出るはずがない」との声も漏れている。
今回のアンケートは、八百長問題で名前が出ている14人のほかに汚染が拡大していないかを調べるのが目的。記名式で、「八百長を見聞きしたことがあるか」「やったことがあるか」「持ちかけられたことがあるか」などについて行司や呼び出しらを含む約900人の協会員全員に尋ねている。回答にうそがあった場合は処分対象になる、とのただし書きもある。
だが、実施を決めた「特別調査委員会」の伊藤滋座長(早大特命教授)自身が、記者会見で「(正直に記入しない可能性が)ある」と語るように、実効性は怪しい。
理由は、昨年6月に実施した野球賭博に関する自己申告。当初は賭博をやったと申告しても処分はしないとしていたが、文部科学省などの批判で方針を一転。集計結果を警察に提出し、「賭博をやった」と回答した親方、力士らの実名を公表。最終的に大量の謹慎者を出した。これが、協会員には「正直者がバカをみた」と映る。
ある親方は「力士からみたら『またかよ』ですよ。うわさですら書く者はいないんじゃないか」。別のある親方は、深いため息とともに、こう語った。「どうすれば、『うみを出し切った』と胸を張れるのかが分からない。協会は文科省に全面協力して、調査を丸投げした方が良かったんじゃないか」