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市民委員を中傷? ネットに書き込み

2011年02月05日

 高崎市の自治基本条例案をめぐり、市がパブリックコメントを募ったところ、市政に外国人が参加することを否定する意見が多く寄せられた。一方、条例案を検討してきた市民委員に対して中傷ともとれる書き込みがネットに流れたことから、市はホームページに掲載していた委員名簿を削除した。(乳井泰彦)

 条例案の作成にあたって、市は2009年8月、公募した21人の市民による委員会を立ち上げた。市職員のチームとともに検討を重ね、昨年11月に提言書を松浦幸雄市長に提出。市は提言をもとに条例案(素案)をまとめ、1月14日までパブリックコメント(意見)を求めていた。

 市のまとめによると、市内123人、市外109人の計232人から403件のコメントが寄せられた。

 条例案で、市民を「市内に在住する者、在勤・在学する者及び市内で活動する者(法人や団体を含む)」としているのに対し、「市民に外国人を含め、市政に参加する権利を付与することは認められない」などとするコメントが33件にのぼった。

 条例案は住民投票についても明記し、住民の意見を行政に反映させる手段の一つにあげる。投票の資格者や実施方法には触れておらず、「別に条例で定める」とした。これに対し、コメントでは「投票資格者に外国人を含めることは認められない」などと、外国人の投票資格を前提にしたものが33件あった。

 市企画調整課は「まちづくりには多くの人がかかわるもので、外国人は無関係というわけではない。条例は公選法と違い、外国人に選挙権を与えるかどうかというのは別の議論」と説明する。

 外国人の参加を問題視するコメントの多くはメールで寄せられた。市内より市外からのものが多かった。

 ネットでは、反対意見を出すよう呼びかける書き込みも複数あった。意見の文例を示し、「住所や氏名が必要だが、ダミーでも仮名でもじゃんじゃん出して」と偽名をそそのかすブログもあった。

 また、ネットで市民委員の名前を出したうえで、職業や経歴などの書き込みが見られるようになった。市によると、内容は不正確で、職業について差別的ともとれる書き込みがあったという。

 このため、市は、ホームページで公開していた市民委員の名簿や個人名が特定できる資料を1月下旬に非公開にした。いまのところ、委員に対する直接的な嫌がらせはないとしている。

 市民委員を務めた男性は「個々の委員のプロフィルがネットでさらされると、市民委員のなり手がいなくなってしまうのでは」と危惧する。

 提言をまとめるにあたっては、タウンミーティングやシンポジウムを開いてきたのに、外国人の参加については意見が出なかったという。男性は「ここに来て急に、外国人の問題を指摘する意見が出てきたことに違和感を感じる」と話した。

 市は、パブリックコメントに対する見解を2月半ばに明らかにしたうえで、3月議会に条例案を提出し、4月からの施行を目指す方針だ。

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