２月４日（金）、神奈川県内にある全日本プロレスの道場で次期シリーズ「２０１１ エキサイトシリーズ」でタッグを結成する諏訪魔とＫＡＩが合同の公開練習を実施。しかし、練習を始めようとした矢先、突如として姿を現したブードゥー・マーダーズ（以下、ＶＭ）のＫＯＮＯに襲撃され、あえなく中止。諏訪魔はＫＯＮＯに対して怒りの制裁を宣言した。

　全日本プロレスの４０年近い歴史をさかのぼっても、類を見ないほどの暴挙だった。明後日より開幕する「エキサイトシリーズ」では、開幕戦の２．６後楽園大会をはじめ、シリーズ中に６人タッグを含めて４度のタッグを結成することになっている諏訪魔とＫＡＩ。三冠王者とジュニア期待の新星と、立場は違えども全日本を盛り上げたいという気持ちに変わりはない。ちょうど先シリーズの１．３後楽園大会ではシングルマッチを闘ったばかりであり、タッグ結成は渡りに船だった。
　そんな２人の意気込みを嘲笑うかのように道場に不法侵入してきたのがＫＯＮＯだった。ＫＯＮＯは２．６後楽園大会ではジョー・ドーリングとのタッグで世界タッグに挑戦。さらに最終戦の２．１３恵那大会では諏訪魔への挑戦権を賭けて、曙、ＫＥＮＳＯと３ＷＡＹマッチで激突する。今回の襲撃はまさにそのデモンストレーションだ。
　いきなり道場に踏み込んできたＫＯＮＯは諏訪魔とＫＡＩをあっという間に蹴散らすと、報道陣に向かって、「おまえら、こんなアンダーカードの記事書いてんじゃねえ！　世界タッグを煽れよ！」と恫喝。さらに持参してきたハサミを取り出し、リングマットに切り込みを入れると、力任せに引き裂くという暴挙を働いた。
　幾人ものレスラーたちの血と汗と涙が染み込んだリングマット。全日本の歴史の証人と言ってもいい、貴重な宝だ。しかし、悪魔に魂を売った男にはそんな感傷はまるでなかった。

　道場を荒らすだけ荒らしたＫＯＮＯは、「三冠チャンピオンもくだらねえ公開練習やってる場合じゃねえだろう！　しょうがねえから３ＷＡＹやってやるけど、あいつのやってない５本のベルト（三冠＆世界タッグ王座）を巻いて、世界ジュニアもあることだしＶＭでベルトを独占してやる！　ＫＥＮＳＯ？　曙？　関係ねえ！　ＶＭのやり方でキッチリ落とし前つけてやるから、おまえらもキッチリ記事書けよ！」と言いたいことだけ言うと、さっさと道場をあとにしたのだった。

　一方の諏訪魔だが、破かれたリングマットを見てしばらくは茫然自失。しかし、徐々に怒りがこみ上げてきたのか、「何が目的なんだ！　これがあいつのやり方なのか？　ＫＯＮＯは絶対に制裁してやる！　伝統ある道場をこういう状態にしたことは絶対に許さない！」と語気を荒らげて制裁を誓った。
「それが三冠という場でもいい。こういうやり方が間違っているということをあいつにわからせてやる！」と諏訪魔。昨日の豆まきでは次期挑戦者候補の３人の中から、曙を指名していたのだが、制裁できるのであればＫＯＮＯが勝ち上がってくることも大歓迎という姿勢を見せた。
　もう一人の候補であるＫＥＮＳＯについては、「論外。三冠をやる必要もない。それ以上は言うことないね」と眼中にあらず。どうやらＫＯＮＯは三冠王者の怒りの導火線に完全に火を点けてしまったようだ。これが吉と出るのか凶と出るのか？　次期シリーズ、諏訪魔とＫＯＮＯ、どちらの行動にも注意をはらう必要がありそうだ。

[記事提供：全日本プロレス]

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[ スポーツナビ 2011年2月4日 22:18 ]