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[スポーツ]ニュース トピック:大相撲改革
【国技は死ぬのか】(中)なぜ八百長は存在するのか
好角家で経済学者の中島隆信慶大教授は「勝ち越しのかかった力士が、すでに勝ち越した力士に金銭で取引を持ちかけるのは経済学的にも容易に想定できる」とする。これまでにも大関や横綱への昇進がかかる場合や、大関や幕内からの陥落のかかる力士にも“相互扶助”が働いているとうわさされてきた。
もう一つ問題点に挙げられるのは日程の過密さだ。その昔、本場所は年2場所計20日で、力士は「一年を 二十日で暮らす いい男」と川柳に詠まれた。だが現在は年6場所計90日で、巡業や行事も多い。「取組が多い上に、力士が大型化してけがが多くなっている。けがをせず長く土俵に上がるために、無理をしたくなくなる。ガチンコ(真剣勝負)ばかりでは、けがの可能性が高くなりますからね」。そう話すのは、『野球賭博と八百長はなぜ、なくならないのか』の著書があるノンフィクション作家の阿部珠樹氏だ。
かつて本場所の土俵上でのけがは、「公傷」と認定されれば翌場所を休場しても、その後の番付の上下に影響しなかったため、力士は治療に専念できた。しかし制度を利用して休場する力士が続出したことから、公傷制度は平成15年で廃止。これが、真剣勝負を避ける心理に拍車をかけたとされている。
日本相撲協会は、勝つ意欲がない無気力相撲について昭和47年、「故意による無気力相撲懲罰規定」を設け、最高で「除名」とすると規定。監察委員会を置いて土俵を監視してきた。また「7勝7敗で千秋楽を迎えた力士が必ず勝つ」という指摘を受け、平成11年からは通常は前日午前中に発表する幕内取組を千秋楽に限って前日夕方に遅らせ、力士間の“星の調整”をしにくくした。しかし、それでも八百長は存在している。
昨年、白鵬の連勝にからんで双葉山とともに名が挙がった江戸時代の横綱、谷風梶之助。その谷風が登場する落語の演目がある。小兵の佐野山は大病を患った母親の薬代で蓄えを使い果たし、空腹のまま黒星を重ねた。窮状を知った谷風は佐野山との取組を願い出ると、多くの懸賞がかけられた一番で佐野山に「孝行に励め」と声をかけ、熱戦を演じて土俵を割った-。
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