そのR
つい先日、四十代の頃にやっていた「宇宙戦艦ヤマト」を何十年ぶりかで又やりました。「宇宙戦艦ヤマト、復活編」の劇場用の仕事です。劇場公開は丁度我が劇団の公演中でしょうか。
なんといいましても私の声の仕事のなかでは、このヤマトの真田志郎の役はもっとも重要な地位を占める役です。今想い出しても不思議なんですが、今から三十何年前、このヤマトのオーディションがありまして、私のオーディションの役はどの役だったか失念しているんですが、終わって帰ろうとすると、その時のヤマトのプロデューサーである西崎さんが「ちょっと君、こっちの役も演ってみなさい」と言われたのが、真田志郎の役でした。オーディションを受けた役は駄目で、ついでに受けた役が決まったんです。それが真田志郎の役でした。
「宇宙戦艦ヤマト」の劇場版を又作るという噂は聞いておりましたが、私としては半信半疑でした。あれから年以上経っているし、もし作ったとしてもあの真田の役を演らせてもらえるかどうか解りません。勿論今までにゲームやパチンコ等の「ヤマト」演っておりましたが・・・・・・。
或る日事務所から「ヤマト演って下さいとオファがありましたよ」と告げられました。一寸胸がズキッとウズくものがありました。早速台本とビデオを貰いまして、台本を観るとほとんどの役は声の役者が変わっておりまして、私と佐渡酒造役の永井一郎さんとアナライザー役の緒方賢一さんの三人だけが昔のキャスティングと同じでした。ビデオも観ましたが、素晴らしい迫力のある画面でした。あれから三十年以上経っているわけですから、当時の画面とは違うのはあたりまえと言えばあたりまえですが。
収録当日、スタジオに入って行くと、ディレクター席にあの西崎プロデューサーが座っておりました。西崎さん自らが演出するようです。西崎さんから声が掛かりました。
「青野さん久しぶりです。あれから大分経っているので、ちょっと声を聞かせてくれませんか」正直一寸ビビリました。なにしろ三十年以上経っているのですから。勿論画面の真田志郎もある程度の年齢の顔にはなっていましたが―。
セリフを読み終えると「ヤー青野さん、全然声が変わってないじゃないですか、驚いたな」と西崎さんの声がスタジオに響きました。その一言は役者としてチョッピリ誇らしく、そして嬉しくもありました。
録音を終えて、西崎さんに挨拶をすると「僕はまだまだこれからも良いものを創るからね」の言葉。私よりたしか年上のはずです。そのバイタリティには頭が下がります。巨人未だ健在の感を深くしました。
更にもう一本、これはもう四十年以上前に演ったウルトラマンに出てくるザラブ星人の役も劇場版で声を吹き込みました。人生永く生きていると、色々な事があります!
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