佑に伝授　ダル投球術　真っ向勝負は危険！

　日本ハムのダルビッシュ有投手（２４）が４日、斎藤佑樹投手（２２）＝早大＝に金言を授けた。沖縄・名護キャンプ初の休日を返上して体を動かしたエースは、スーパールーキーに「甘い球をいかに打ち損じさせるかが大事」などと独自の理論でアドバイス。斎藤は宿舎でゆっくりと体を休めてリフレッシュ、沖縄の伝統楽器三線に触れた。

　現役最強ピッチャーの投球術が斎藤に伝授された。５日のブルペン入りに備え、休日返上で、体幹トレーニングなどを行ったダルビッシュは、斎藤のプロへの順応性について問われると、静かに語り出した。

　「ひとつ言えるのは大学生とは違うということ」と打者のレベルの違いを前提に「自信のあるボールとかじゃなくて、甘い球をいかに打たれないか」と独自の理論を展開した。「自分も最高のボールをホームランされたこともある。力のない球で打ち取るのが重要だし、そのために配球だとか球の質が大事になってくる」と、ベストボールを投げ込んで打ち取ろうとする真っ向勝負の危険性を指摘した。

　４年連続で防御率１点台のエースの理論は変化球論にも及んだ。「スライダー、フォーク、シュート、シンカーとかいろいろやるよりも、カーブならカーブ、スライダーならスライダーでそれぞれ２種類ずつある方がいい。速さやタテヨコの変化を付けてね」。１５０キロを超える剛速球に超一級品の変化球を複数持つダルですら、ベストピッチを打たれてしまうのがプロ野球。総合力で勝負するタイプの斎藤にとっては、ダルの言う“ピッチングの妙”が重要になってくる。

　東京六大学で史上６人目の３０勝、３００奪三振をマークした斎藤もモデルチェンジの必要性を認識している。沖縄の民族楽器「三線」を初体験した斎藤は「三線（さんしん）か…。でもプロでは三振が減るでしょうね」と梨田監督ばりのダジャレでポツリ。「大学生が振っていたスライダーをプロは振らないと聞いた。そこらへんも試していきたい」と話した。

　１３日には、韓国サムスンとの練習試合でデビュー登板する予定。あこがれのダルビッシュの金言も胸に、まずは少しずつプロの打者のレベルを肌で感じていくことになる。　（臼杵秀之）