2011年2月5日5時33分
記者に囲まれ質問に答える放駒理事長=4日午後5時36分、東京都墨田区の国技館、伊藤進之介撮影
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土俵の外は、厳しい風が吹いている。
協会を監督する文科省。高木義明大臣は4日の記者会見で「最優先すべきなのは全容解明。春場所の開催は調査状況をふまえたうえで判断すべきだ」と発言した。力士らへの調査が不十分なら、開催中止も検討するべきだとの考えを示唆した。
「場所を開催するかしないかの権限は文科省にない」というのが、文科省の基本姿勢だ。公益法人である相撲協会の運営に問題があれば、監督官庁の文科省には、行政指導をする権限がある。ただ、スポーツの試合を中止させるといった指導は前例がない。
それでも今回、文科省で厳しい見方が出ているのは、八百長が野球賭博と違い、「相撲自身にかかわる問題」(鈴木寛副大臣)だからだ。
八百長報道の後、文科省には市民から「協会をしっかり指導していないのか」との苦情も入っており、文科省の政務三役は「中途半端な調査や処分で終わりにするわけにはいかない」と話す。
協会側からは6日以降に調査結果が出される。もし調査が不十分ならば、「『それで国民の納得が得られると思うか』などと見解を示し、やり直しを求めることになるだろう」と担当課は言う。
2010年7月の名古屋場所では、野球賭博問題などで総理大臣杯の授与が見送られている。蓮舫行政刷新相は4日、春場所開催について「厳しい対応を含めて考えた方がいいと思う」と記者団に述べた。「この国の行政のトップに就く人が杯を渡す相手というのは、適切かどうか冷静に判断すべきだ」