きょうのコラム「時鐘」 2011年2月5日

 お姫様ブームである。大河ドラマ「江」にあやかった滋賀・福井の観光キャンペーンに続いて、北経連も北陸の「姫さま」に取り組んでいる

加賀藩には前田利家の娘で宇喜多秀家夫人の「豪姫」。織田信長の娘で利長夫人の「永姫」。徳川秀忠の娘で利常夫人の「珠姫」など、戦国期の豪華メンバー勢揃(ぞろ)い。それぞれゆかりの地を結び、物語性に富んだ広域観光ルートを設定しようとの提案だ

「篤姫」がヒットして、二匹目のドジョウを狙ったとも言われているが、お姫様ブームの中身はどれもよく似ている。ひとつは、おてんば姫であること。篤姫も江姫も、男勝りの「変わった姫じゃのう」のセリフが出てくる

テレビドラマで言えば「坂の上の雲」に登場した正岡子規の妹「律」も一種のお姫様だった。弱い兄を守る強くてかわいい妹。だが、人並み以上の苦労を耐え忍ぶ。お姫様の二つ目の特徴は悲劇性である。笑っているうちに涙がにじむ。物語の最高の味わい方である

ワンパターンだが、それでなければ納得しないファンが多い。観光キャンペーン成功のコツも、そこにあるように思う。