2011年1月4日 11時35分 更新:1月4日 15時24分
菅直人首相は4日午前、首相官邸で年頭記者会見を行い、民主党の小沢一郎元代表が政治資金規正法違反事件で強制起訴された場合は「政治家として出処進退を明らかにし、裁判に専念されるならそうされるべきだ」と述べ、離党や議員辞職などの進退を自ら判断するよう促した。また、社会保障と税制の一体改革で「必要な財源、消費税を含む税制改革を議論せねばならない。財源問題を含めた超党派の議論を始めたい」と与野党協議を呼びかけ「6月ごろまでをめどに方向性を示したい」と語った。
首相は「日本の政治で、カネの問題を議論せねばならない状態を脱却したい。今なお国民から不信の念で見られ、改革を進める際、痛みを分かち合ってもらえない。今年をけじめをつける年にしたい」と強調。小沢氏に「国会で説明してほしい」と通常国会開会前に衆院政治倫理審査会に出席するよう、改めて求めた。
内閣支持率の低下やねじれ国会で混迷した状況を打開するための衆院解散・総選挙の可能性については「私の念頭には解散の『か』の字もない」と否定した。
内閣改造・党人事に関しては「11年度予算案の迅速な成立に向け、最も強力な態勢を作りたい」と国会召集前に行う考えを示したが、具体的な言及はなかった。一方、仙谷由人官房長官らが受けた参院の問責決議の有効性に疑問を呈し「問責が即、辞任になるなら(首相が解散できる)衆院より大きな権限を(参院が)持つ、という意見も(識者から)ある。党、国会で議論する場面があっていい」と語った。
首相は野党時代の民主党の国会対応について「政局中心になりすぎた場面もあった。私たちも反省する」と述べたうえで、国会の現状を「政策より、政局的に解散を求める議論に集中している」と指摘。国会質疑で質問の24時間前に政府側に質問要旨を通告し、閣僚の外国訪問を積極的に認める慣例を与野党で確立するよう求めた。
また、首相は「11年を『平成の開国元年』としたい」と位置付け、「貿易自由化促進、若者が参加できる農業再生の二つをやり遂げる」と強調。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加の判断時期は「6月ごろが一つのメド」とした。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡っては「沖縄の基地負担を引き下げる方向で、できることを迅速に進めていきたい」と語った。【田中成之】