2011年1月3日 20時47分 更新:1月3日 23時9分
毎日新聞は3日、主要122社を対象にした景気アンケート(10年11月下旬~12月上旬実施、社長・会長が対象)の結果をまとめた。円相場の高止まりや政府による景気下支え策の終了・縮小を受け、景気の現状を「横ばい」と答えた社は75.4%(92社)と前回調査(10年9~10月実施)を約12ポイント上回り、景気の停滞感が色濃く出た形となった。先行きについても「横ばい」が71.3%(87社)と前回より約12ポイント増だったが、「良くなる」が16.4%(20社)で前回を約6ポイント上回るなど、「薄日」を感じさせる見方もじわりと広がり始めている。景気の本格的な回復時期については、8割が11年度下期以降になると予想した。
景気の現状を「横ばい」とみる企業の多くは、円高による輸出の停滞▽欧米経済の減速▽政府の経済対策の縮小による個人消費の息切れ--などを理由に挙げた。新興国経済は堅調だが中国が景気抑制に乗り出したことを不安視する声もあった。
「緩やかに回復」と答えた企業は8.2%(10社)、「回復」はゼロで、ともに前回より減少した。「緩やかに悪化」と答えた企業は、前回とほぼ同じ16.4%(20社)。うち半数近い9社が「政府の経済対策が一巡し、消費の停滞が顕在化してきている」(自動車メーカー)ことを理由に挙げた。昨年9月にエコカー補助金が終了。12月には家電エコポイントの付与がほぼ半減され、直前に駆け込み需要が発生したが、その後の需要の反動減も大きく、「需要の先食い」による消費低迷を懸念している。
景気の先行きについても「円高の進行・定着による輸出減少が今後本格的に効いてくる」(三菱自動車)と、輸出産業を中心に慎重な見方が多いが、一方で「悪くなる」との見方が前回より約18ポイントも低い11.5%(14社)にとどまるなど、悲観的な見方一色で染まっているわけではない。11年度の自社業績が前年度に比べて「好転する」「やや好転する」と予想した企業も合わせて48.4%(59社)と半数近くあった。
ただし、内需拡大を伴う景気の本格的な回復時期については、「11年度下期」と答えた企業が49.2%(60社)と約半数を占め、「米国経済の回復」(化学メーカー)など、同年後半からの先進国経済の回復、輸出の復調に期待する企業が多かった。「12年度以降」とした企業は31.1%(38社)で、景気の本格回復までは半年~1年以上かかるという見方が多数を占めた。【井出晋平、宮崎泰宏】