2010年12月6日 20時35分 更新:12月6日 21時11分
職場の受動喫煙対策を議論している厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会分科会は6日「全面禁煙」か一定の要件を満たす喫煙室を設置する「空間分煙」を事業者の義務とする報告書の骨子をまとめた。飲食店なども規制対象とされたが「営業上の支障」を主張するのに配慮し、当面は「可能な限り受動喫煙の機会を低減させることを事業者の義務」とし、換気設備を設置し有害物質濃度を低減することとした。罰則は導入を見送った。
上部組織の審議会が年内にも報告書をまとめ、同省は11年の通常国会に労働安全衛生法改正案提出を目指す。
骨子では、一般の事務所や工場だけでなく顧客が喫煙する飲食店やホテル、旅館などについても労働者の受動喫煙防止の観点から全面禁煙や空間分煙を事業者の義務とした。しかし営業への影響が大きいため、当面は換気設備の設置により▽浮遊粉じん濃度を基準以下(1立方メートル当たり0.15ミリグラム以下を想定)▽この濃度基準に見合った換気量の達成--のいずれかを満たせばよいとした。
規制の導入にあたっては喫煙室の設置費用の財政的支援や、有害物質濃度を測定する粉じん計の貸与など技術的支援も行うべきだとしている。
厚労省は「現在、職場の受動喫煙対策は指針による努力義務に過ぎないが(職場環境の最低基準などを定める)労働安全衛生法で義務に格上げされれば労基署の是正指導などが可能になり、効果がある」と話す。【佐々木洋】