民主党:財源の方向性示せず 税・予算提言

2010年12月6日 22時11分 更新:12月7日 0時25分

 民主党は6日、11年度の税制、予算編成の提言をまとめ、政府に提出した。菅直人政権で復活した政策調査会で党内意見を集約したものの、政府は「一つの参考」(野田佳彦財務相)との立場。党提言には主要項目で財源を明示していないケースも多く、混迷する論議の決定打にはなりそうもないのが実情だ。

 「苦慮を重ねて全会一致でまとめた。政府はそのことを踏まえてほしい」。民主党税制改正プロジェクトチームの中野寛成座長は提言書提出の際、政府に実現を強く要請した。

 だが、提言が実際の税制・予算にどこまで影響力を持つかは不透明だ。象徴的な事例が減税の是非や手法を巡って財務省と経済産業省が対立している法人税の扱い。党の税制提言は「減税に対する経済界の期待は大きい。(減税財源を確保するための)行き過ぎた課税ベース拡大で経済成長を阻害することがないよう留意が必要」と指摘した。5%引き下げを求める経産省を後押しするものだが、財務省が提示を求めた財源は示されず、両省の対立を打開するにはほど遠い内容となった。

 11年度に3歳未満のみ支給額を上積みする子ども手当の財源についても、党の予算提言が「配偶者控除の見直しを含めて検討すべきだ」と指摘したのに対し、同じ党の税制提言では「(配偶者控除見直しは)慎重な判断を」と要請し、判断が分かれた。税制提言が実質増税につながる控除見直しに慎重な背景には「来年の統一地方選などで野党から批判が上がる」(政調中堅)との懸念があるが、党内の一本化も図れない状況では政府への影響力は限定的といえる。

 また、基礎年金の国庫負担割合については、予算提言は年金に対する不安増大を理由に「現在の50%から引き下げることは認められない」と説明。しかし、50%負担を維持するための財源には言及せず、解決を政府側に全面的に委ねた。

 昨年の予算編成では、小沢一郎幹事長(当時)の方針で党政調は廃止され、陳情は小沢氏が一括して受け取って「党要望」という形で12月16日に政府に提出。迷走していた税制・予算編成論議が一気に前進した。

 一方、菅政権は党政調を復活させ、省庁ごとの部門会議や、税制、子育て、税と社会保障など主要テーマごとのプロジェクトチームを設置。全員参加で議論を積み上げ、首相が「最終的に自分の責任で決める」(6日の会見)ことを目指す。だが、首相がリーダーシップを発揮する場面はいまだ見られず、政府内では「党にも政府にも、昨年の小沢氏のような『絶対権力者』がいない」(経済官庁幹部)と、調整難航を懸念する声が強まっている。【坂井隆之、谷川貴史】

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