自賠責保険:逆埋蔵金5893億円 財務省、返済に消極的

2010年12月6日 20時47分 更新:12月6日 23時32分

 自動車ユーザーが払う自賠責保険の保険料で積み立てた資金のうち、国の一般会計に貸し付けた残額の5893億円の扱いが宙に浮いている。元々は自動車事故対策などに充てる財源で、11年度までに自動車安全特別会計への返済が約束された「逆埋蔵金」。特会を管理する国土交通省などは返済を強く求めているが、財務省は財政難を理由に消極的。過去に2回返済期限が延期されてきたが、政府は最終的に三たび延期する方針だ。

 政府は1994、95年度の予算編成で、財政難に対応するため同特会から計約1兆円を一般会計に繰り入れていた。利息を付けて00年度までに分割返済する予定だったが、厳しい財政事情のあおりで完済に至らず、返済延期を繰り返した。03年の財務、国交両相の覚書で、11年度までに返済することにしたが、ここ7年は分割返済すら滞っている状態だ。

 自賠責保険料の積立金は、運用益を自動車事故で重度後遺症を負った被害者の受け入れ施設整備など「被害者対策事業」に充てている。10年度で2300億円の積立金があるが、国から返済されれば同事業の拡充が可能だ。このため事故被害者の会の代表者らは「財務省は借りた金を返すべきだ」などと反発。国交省は6日、学識経験者らで作る「自賠責保障制度のあり方に関する懇談会」を開き、財務省に早期返済を求める方針で一致した。

 ただ、同事業に対しては、10月の事業仕分けで無駄が指摘されている。政府内には「返済の前に事業の見直しが必要」と返済への慎重論も根強く、3度目の返済延期が現実味を帯びている。【三沢耕平】

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