2010年12月5日 21時22分 更新:12月5日 23時24分
今年5月に打ち上げられた金星探査機「あかつき」が7日、金星の周回軌道に投入される。日本の惑星探査は98年に打ち上げた火星探査機「のぞみ」が軌道投入に失敗して以来で、今回成功すれば日本初の惑星探査機となる。
あかつきは7日朝、エンジンを約12分間逆噴射して速度を落とし、金星のまわりを回る楕円(だえん)軌道に入る。地球との交信に往復約8分間かかるため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、指令プログラムをあらかじめ探査機に送信。7日の作業は自動制御で実行される。
金星は地球から最も近い太陽系の惑星で、大きさは地球とほぼ同じだが、大気の約96%を二酸化炭素が占め、気象も地球と大きく異なる。
あかつきには6台の観測装置を搭載。金星の人工衛星として、濃硫酸の厚い雲を透過して活火山の活動を調べたり、雷などの発光現象を観測する。とりわけ、風速100メートルという猛烈な東風が吹き続ける「スーパーローテーション(超回転)」という大気循環の謎を探るため、風と同じスピードで飛びながら雲の変化を見続けるなど、過去に例のない観測が計画されている。【山田大輔】
【ことば】あかつき
日本初の金星探査機。今年5月21日、鹿児島県種子島からH2Aロケットで打ち上げられた。縦横約1.4メートル、高さ約1メートルの箱形で、重さ約500キロ。2枚の太陽電池パネルを翼のように広げ、約5億キロを飛行して金星に到着。金星の上空を約300キロ~約8万キロと近づいたり離れたりしながら、1周約30時間で周回して観測する。設計寿命は約2年間。