大学センター試験:再利用プレーヤー初使用 環境に配慮し

2010年12月5日 2時30分

英語リスニングテストで使うICプレーヤー。写真右のメモリーカードなどを再利用する=井上俊樹撮影
英語リスニングテストで使うICプレーヤー。写真右のメモリーカードなどを再利用する=井上俊樹撮影

 来年1月の大学入試センター試験の英語リスニングテストで、リサイクルされたICプレーヤーが初めて使われる。故障などへの懸念もあり、これまでは使い捨てだったが、環境への配慮などから再利用に踏み切った。ただし、ICプレーヤーは新品でも毎回不具合が生じてきただけに、再利用の中古機器を使う初の試験に対して、実施する独立行政法人・大学入試センターは緊張感を高めている。

 英語リスニングテストは06年度試験から導入され、来年1月15日の11年度試験で6年目。最初の4年は使い捨て型の機器を使い、受験生は持ち帰って後輩の試験対策に活用してもらうなどしていた。だが、「もったいない」との批判もあり、今年1月の10年度試験から再利用できる機器に変更。試験終了後に会場で回収した。

 大学入試センターによると、再利用するのは、内蔵されているIC(集積回路)と、音声を記録するメモリーカード。ICは2回、メモリーカードは5回使うという。

 コスト面ではあまり節約にならなかった。分解や洗浄、調整、再組み立ての人件費がかかるため、1台当たり単価は2880円と、従来より100円程度下がっただけ。試験の検定料(3教科以上1万8000円、2教科以下1万2000円)を引き下げる予定は今のところないという。

 課題は本番でのトラブルだ。導入1年目の06年度試験では機器の不具合などで461人が再テストになった。年々トラブルは減少しているが、今年1月の試験でも18台の不具合が見つかった。

 センターが先月30日に発表した来年1月試験の志願者数は前年度比1.0%増の55万8983人。約60万台分を準備、すべてについて音が出るかなどのチェックを終えたという。センター側は「不具合をゼロにするのが理想」(事業部)と話している。【井上俊樹】

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