1961年から50年間営業してきた、呉市本通の映画館「呉シネマ」が4月末で閉館する。市外のシネマコンプレックスなどに押される中、採算割れでも営業してきたが観客数の回復が見込めないため。市内で2館を経営する運営会社がもう一つの映画館「ポポロ」への集約を決定。市内の映画館は1館だけになる。
運営する呉興行倶楽部=くらぶ=(海生孝昭社長)によると、呉シネマは61年、別の事業者が57年に現在のビルを建てて営業していた映画館を買い取る形で開館。2スクリーン計600席で、開館時の座席を残すなどレトロな魅力がある。
閉館の理由を、同社の下原謙次郎専務(73)は「呉シネマ、ポポロの2スクリーンずつで常に観客を確保するのは難しくなった。呉に末永く映画館を残すため一つに集約して内容を濃くする道を選んだ」と説明する。
ビルの今後の活用法は未定。呉シネマは4月に「さよなら上映会」を開くことも検討している。呉シネマの閉館で、市内の映画館は87年に開館した計350席のポポロだけとなる。
【写真説明】4月末での閉館が決まった映画館「呉シネマ」
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