ライフ【産経抄】2月4日2011.2.4 03:29

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【産経抄】
2月4日

2011.2.4 03:29

 「東京で冬を過ごし始めたころは、毎日青空が見られてうれしかったけれど、そのうち腹が立ってきた。なんで東京の人だけこんなに恵まれているんだって」。新潟県の豪雪地帯出身の知人から、打ち明けられたことがある。

 ▼気象庁はきのうも東京都心などに、35日連続となる乾燥注意報を出した。史上2位の記録という。一方、北陸や東北地方の大雪は続き、雪下ろし中のお年寄りが屋根から転落死するなどの事故が相次いでいる。

 ▼この極端なまでの冬の気候の違いを、政治の世界で最大限に利用したのが田中角栄元首相だった。新潟県中部の小さな村で生まれた角栄少年は、雪のために死にかけた経験をもつ。自宅の屋根から落ちてきた雪の下敷きになったのだ。祖母が必死にふるった鍬(くわ)が額に当たり、雪が真っ赤に染まってようやく見つけだされた。

 ▼元首相は若いころ、「越後山脈に風穴を開ければ、雪は東京に降って、新潟から出稼ぎに行く必要もなくなる」と地元でぶち上げた。壮大過ぎるプロジェクトは実現しなかったものの、新幹線や高速道路の建設など、元首相のいう「太平洋側と日本海側の格差の解消」に努めた。

 ▼今では、角栄型の利益誘導政治は否定されている。かといって、雪害にあえぐお年寄りを、見殺しにしていいはずがない。きのうの主張欄では、困った人たちをみんなで助ける「共助」の仕組み作りを急ぐよう、提言していた。泉下の元首相はどう考えるだろうか。

 ▼屋根といえば、JR浦佐駅前に立つ元首相の銅像に、長女の真紀子衆院議員サイドの意向で、平成17年に屋根が取り付けられ話題になった。雪をかぶって地元の人たちを見守る姿の方が、元首相にふさわしい。

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