経済・IT【主張】鉄鋼再編 世界トップの奪還めざせ2011.2.4 03:33

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【主張】
鉄鋼再編 世界トップの奪還めざせ

2011.2.4 03:33

 国内鉄鋼最大手の新日本製鉄と3位の住友金属工業が合併に向けた協議に入った。新会社は世界2位となり、世界最大手のアルセロール・ミタルを追い上げる。

 日本企業は成長を続ける海外市場の取り込みを通じて国際競争力の強化を迫られている。そうした中での合併協議は、日本企業が再び世界市場トップの奪還に動き始めたものと受け止めたい。政府も産業界の競争力底上げに向けて後押ししてほしい。

 新日鉄と住金は提携関係にあったが、これを大きく進めて来年10月をめどに合併による経営統合をめざす。3日緊急会見した宗岡正二・新日鉄社長は「世界トップクラスの鉄鋼会社を目指したい」と語り、その狙いを強調した。

 装置産業である鉄鋼業が世界市場に本格的に打って出るには、経営規模の拡大が欠かせない。生産規模を高めることで生産コストが引き下げられるほか、鉄鉱石や石炭など原材料の購入交渉でも優位に立てるとの判断からだ。

 1990年代までは新日鉄をはじめとする日本の鉄鋼業が世界市場をリードしてきた。しかし、2000年代に入るとインドで創業したミタルが相次いで大型買収に踏み切り、中国企業も再編に乗り出すなど、生き残りをかけた合従連衡が続いて日本の鉄鋼業の凋落(ちょうらく)が指摘されていた。

 日本経済の成長に向けて、企業が質・量の両面で国際競争力の強化を図る意味は大きい。産業界では「鉄は国家なり」とされ、鉄鋼業が長らく盟主的存在だった。自動車や半導体などに主役の座を明け渡したが、依然重要であることに変わりはない。過去の大型統合では統合比率や人事をめぐり破談に陥った例もある。両社は成功に全力をあげてほしい。

 両社は公正取引委員会に合併を申請し、独占禁止法に抵触する恐れがないか審査を受ける。公取委は一部製品の国内シェアが高まることを指摘する可能性があるが、国内ではなく、国際市場における全体的なシェアで審査に臨むなど柔軟な対応が求められる。

 日本企業の成長には、新興国など海外市場の開拓が欠かせない。産業界は今回の協議に続いて、競争力強化に向けた取り組みを強める必要がある。政府も環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を早期に締結して、企業の海外進出の環境を整備してもらいたい。

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