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米アップル、コンテンツ管理を強化

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 米アップルは現在、同社のオンライン音楽配信サービス「iTunes(アイチューンズ)ストア」を活用し、雑誌、新聞、その他のコンテンツの売上げの拡大を目指しているが、一部の出版社では同社のこのような取り組みに神経をとがらせている。

Bloomberg News

アップルのアイパッド

 この取り組みの目的は主に、同社の携帯端末「iPad(アイパッド)」向けデジタル・コンテンツの定期購読収入を促進することだ。同社は2日、新たな配信・課金システムの詳細を発表したが、同システムを活用することでデジタル・コンテンツの売り上げを加速できると期待している。同社は同時に、アイパッド向けアプリからの売り上げについて、その取り扱い規定を強化しており、電子書籍やその他の電子出版物の売り上げなどにも影響が及ぶ見込みだ。

 アップルのこのような動きは業界で論議を巻き起こしているが、その理由の一つとして、同社が出版社に対して一部のコンテンツの売り上げを分配するよう要求できるようになっていることが挙げられる。これは前例のないことである。さらに、アップルは出版社に対して、コンテンツ購入者に関する貴重なデータを収集しないよう要求することもできる。出版社は製品のマーケティングを行う際、このようなデータに依存しており、関係筋によると、この問題は出版社との交渉における障害となっているという。

 これまでのところ、アップルのコンテンツ配信・課金システムの導入が発表されているのは、米メディア大手のニーズ・コーポレーション1社のみ。ニューズは、2日に創刊したタブレット型端末向け電子新聞「ザ・デイリー」で同システムを利用している。

 しかし、アップルのインターネット・サービス担当副社長エディー・キュー氏は、他社も同システムを利用するようになるだろうと自信を示しており、「定期購読により、(出版社は)顧客を増やすことができると、当社は考えている」と述べた。

 今回のアップルの動きは、同社のアイチューンズの影響力拡大を物語る最新例である。アイチューンズはデジタル化した音楽の販売形態に変革をもたらしただけでなく、最近では、iPhone(アイフォーン)やアイパッド向けのソフトウエア・アプリケーション(アプリ)の配信でも、中心的な役割を担うようになっている。アップルのソフト配信サイト「アップストア」は1年半前に立ち上げられたばかりだが、投資銀行のグリーチャー&カンパニーの推定によると、2010年の収入は11億ドルに達した。

 出版各社は新聞・雑誌の閲覧ができる独自のアプリの開発を急いでおり、特にアイパッドが魅力的な対象となっている。しかし、アップルがそのようなアプリに認めているのは大半の場合、定期購読ではなく、1部単位の販売である。

 ウォール・ストリート・ジャーナルやエコノミストなど、自前の課金システムを持つ少数の出版社は以前から、ユーザーを自社のウッブサイトに誘導して、定期購読を提供できる体制を構築している。しかし、大半の出版社はそのような能力を持っていない。自社サイトから売り上げが得られれば、アップルと収入を分け合う必要なない。

 書籍と定期購読を含めたコンテンツの販売を行う出版社に対して、アップルは今後、アプリを通してそのような販売を行うよう求めていく。さらに、アプリにはアイチューンズの課金システムが活用される。同社によると、このポリシーは新しいものでないという。同社は今週初め、ソニーの電子書籍アプリの採用を拒否したが、その理由として、このポリシーを挙げた。

 英国で電子出版開発を行うYuduは最近、アイチューンズ・ストアを通じた支払いができない新聞・雑誌アプリについては、3月31日からその採用を拒否すると、アップルから通告されたという。Yuduの最高経営責任者、リチャード・スティーブンソン氏は、新しいアプリの採用をアップルに申請した際にルールが間もなく変更されると知らされ、アップルの計画を概略した電子メールを受け取ったという。

 スティーブンソン氏は同社の取引について、すでに全てアイチューンズを通じて処理されるようになっており、運営方針に変更はないと述べた。しかし、他社には今回の変更の影響を受けるところもあるかもしれないという。同氏は「影響は非常に大きい」とした上で、「アイチューンズ・ストアに顧客を依存するビジネス・モデル」の企業は数多くあると付け加えた。

 アップルは、アイチューンズ・ストアを通じたコンテンツの販売がオプションとして加えられている限り、アイチューンズ外での販売も継続できるという見解を示している。アップルのキュー副社長は「当社が望んでいるは、顧客が当社のアップストアから簡単に出版物を購入でき、もちろん他のウェブサイトやそれ以外の方法でも同様に購入できることである、と思っていただきたい」と語った。

 アップルは出版社との条件の詳細を開示していないが、アイチューンズでコンテンツが販売された場合、通常売上げの30%はアップルに行くことになっている。ウォール・ストリート・ジャーナルも出版しているニューズは、アップルも開発に協力した「ザ・デイリー」の創刊では、これと同じような条件で提携しているようだ。ニューズのルパート・マードック会長は2日、フォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビューの中で、最初の年の場合、1ドルの売り上げに対するニューズの取り分が70セント、アップルが30セントと述べた。さらに、同会長はそれ以降については交渉次第であることを明かした。

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