ワサビに含まれる成分が、メチル水銀を体外に排出させるというマウスによる実験結果が27日、熊本県水俣市で始まった国立水俣病総合研究センター主催の国際フォーラムで発表された。水俣病など深刻な健康被害をもたらしてきた水銀をめぐっては、近年、途上国での汚染拡大が懸念されている。発表した熊谷嘉人・筑波大教授の研究グループは「食生活を見つめ直すことで、水銀被害のリスクを減らすことができるのではないか」としている。
研究グループの日本学術振興会特別研究員、外山喬士(たかし)氏によると、メチル水銀を0・02ミリグラム投与したマウスと、同量のメチル水銀に加え「イソチオシアネート系化合物」を0・2ミリグラム投与したマウスの、脳と肝臓の水銀濃度を比較した。
その結果、同化合物を投与したマウスの方が残留濃度が10%ほど低く、体外に排出する作用がより強く働いたと考えられるという。化合物はワサビのほか、ブロッコリーの新芽にも豊富に含まれるという。
フォーラムは28日まで。4カ国計15人の研究者が水銀毒性のメカニズムについて発表する。
=2011/01/28付 西日本新聞朝刊=