2010年12月3日0時20分
【ウィーン=玉川透】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長が昨年の就任直前、「重要な決定で常に米国側に立つ」との考えを示し、米国が天野氏の姿勢を評価していたことが民間サイト「ウィキリークス」が公表した米外交公電で分かった。
英紙ガーディアン(電子版)によると、米国の駐ウィーン国際機関代表部が昨年10月に本国に送った公電で、天野氏について「事務局長は全加盟国を代表するが、意見は我々と一致している」と紹介。天野氏が代表部大使に「幹部の人事案件からイランの核兵器開発疑惑への対応まですべての重要な戦略的決定で米側に立つ」と繰り返し示唆したと報告した。
昨年12月の就任以降、イランの核開発疑惑を厳しく追及する天野氏に対し、イランは「米欧寄り」との批判を強めている。今回の天野氏の発言内容を巡り、イランがさらに反発を強める可能性がある。天野氏は2日の記者会見で、加盟国である米国の内部文書流出について発言する立場にないとした上で、「(暴露された)公電は私が書いたものではない。受け取り方は人それぞれで、私自身は間違ったことをしたとは思っていない」と語った。