尾道市因島の南に浮かぶ愛媛県上島町の生名島と佐島を結ぶ生名橋(515メートル)が6日に開通する。地元では「観光など町活性化の起爆剤に」と期待が高まる一方、フェリーを軸とした交通網の変化に因島などでは戸惑いの声も聞かれる。
生名橋は鋼・コンクリート混合斜張橋。弓削島・佐島・生名島・岩城島の4島を3橋で結ぶ愛媛県の上島架橋整備事業の一環で、2007年7月に着工した。1996年開通の弓削大橋(弓削島―佐島)に続く橋で、事業費は約77億円。
町は、弓削島に離島体験滞在交流施設を約10億円かけて建設中で、5月中旬にオープン予定。橋でつながる3島を自転車で走るサイクリストのニーズに応えるため、新年度からレンタサイクルを増やす。開通記念のプレミアム付き商品券も発売し、町内での消費の活発化を促す。
一方、車と人の流れは大きく変わりそう。因島から上島町役場のある弓削島へは、最短の生名島にフェリーで渡れば橋伝いに行け、料金も因島―弓削島間に比べ割安。07年の町の予測では、因島―生名島の生名公営渡船は4割近い増加を見込む。その分、競合航路は影響を受ける。
因島―上弓削間の家老渡フェリー汽船は1月24日から料金を3割程度値下げ。減便も検討している。上弓削の温浴施設を利用する因島の女性(64)は「安くなるのは歓迎。でも不便になりそう」と話す。因島―下弓削間の弓削汽船は生名橋開通後の7日から、旅客専用船に切り替える。
尾道市因島総合支所の松浦正美支所長は「生名島へ渡る因島側の車の待機レーンの混雑などについて上島町側と対策を話し合っていきたい。減便になる航路は当面、推移を見守りたい」としている。
【写真説明】6日に開通する生名橋(右が生名島)
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