2011年2月4日11時49分
地元の人たちは1月31日、今庄駅で足止めとなった乗客らのためにおにぎりをつくった=福井県南越前町今庄、荻原写す
JR今庄駅に届いたお礼の手紙=福井県南越前町今庄、笹川写す
北陸を襲った大雪で特急列車が25時間以上立ち往生したJR今庄駅(福井県南越前町)に3日、乗客だったという人から匿名の手紙が届いた。おにぎりや弁当を配ってくれた地元の人や駅員らに感謝の言葉をつづっている。住民たちは、思わぬ便りに顔をほころばせている。
今庄駅は2メートル超の積雪に覆われ、1月30日午後9時ごろから翌31日午後10時半ごろまで、富山発大阪行きサンダーバード40号と大阪発金沢行きの同37号が動けなくなった。
「食べるものはありませんか」。住民たちは31日朝、乗客らに声をかけられ、炊き出しを始めた。乗客は700人以上いたため、ガス釜を町役場などで調達。駅正面の空き店舗で米を炊き、おにぎりやお茶を届けた。
手紙は大阪府藤井寺市の消印で、サンダーバード40号の「一乗客より」となっていた。「家も大変な時なのに我々の為(ため)におにぎりを握って下さり、あの味は一生忘れる事の出来ないものとなりました」と地元の人たちに感謝していた。弁当や毛布を運んだJR関係者にも「(列車が)動き出した時には皆様がホームに立ち、深々と頭を下げ、手を振って下さっている姿に胸迫るものがありました」とお礼の言葉を書いている。
駅前に住み、売店で働いている北村京子さん(55)は、携帯電話の充電のためコンセントを貸し、おにぎりを配るのを手伝った。乗客とは「春にまた来てください」と話して別れた。「カタクリが咲く春にお客さんがまた今庄に来てくれるのが楽しみ」。駅には他にも、お礼の電話や礼状の送り先を問い合わせる電話が数件かかっているという。(荻原千明、笹川翔平)
中東に駐在し、日々、中東の動きに接する川上編集委員が、めまぐるしく移り変わる中東情勢の複雑な背景を解きほぐし、今後の展望を踏まえつつ解説します。エジプトからの緊急報告も。