大相撲の八百長メール問題を受けて、親方を対象にした緊急評議員会が3日、両国国技館で行われた。席上で、行司・呼出ら裏方を含めた全協会員を対象にした、八百長の情報提供を募るアンケートが配布された。設問の最後には事実に反することを答えた場合に、処分を受けることを認めさせる署名欄が付記された。記名で八百長を告発させる形式に、親方衆を中心に協会員からは、アンケートの効果に疑問を持つ意見が噴出した。
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実名をさらして内部告発を求めるやり方に、相撲協会内から疑問の声が上がった。ある協会員は「やる意味がないんじゃあないかな。本当のことなんて書けないでしょう。これでは」と苦笑した。別の協会員も「八百長を知っていたとしても、いろいろな問題で書けないと思う」と漏らした。
配布されたアンケートの末尾には、「この答えについて、事実に反したことが発覚した場合は、いかなる処分を受けることも誓います」という趣旨の一文が添えられた。その後に、自分の役職と名前を書き込まなければならない。協会員にとって大きなプレッシャーとなるのは間違いない。
設問について、相撲協会は公式には非公表とした。関係者によると、最初に「あなたは八百長(故意による無気力相撲)が存在することを知っていましたか」という大設問があり、「ある」と答えた場合には、その時期、該当者、八百長で動いた金額を問う細かな設問に答える流れとなっているという。
また、「八百長の仲介役をやったことはありますか」という設問も用意され、こちらも「ある」と答えた場合は細かな設問に答えなければならない。二所ノ関広報部長(元関脇金剛)は、虚偽の回答への処罰の可能性について「そういうことも含めている」と否定しなかった。
アンケートは3日に配布され、4日には回収される電撃的な日程が組まれている。放駒理事長(元大関魁傑)は「力士全員が正直に話してもらいたい。あとは調査委に任せる」と公正な結果に期待したが、いわば“仲間を売る”内部告発に協会員が踏み切れるかは未知数だ。