ピッチャー金本が復肩をアピールだ!右肩棘上(きょくじょう)筋断裂から復活を目指す阪神・金本知憲外野手(42)が3日、ブルペンで投球練習を行った。約300人のファンを前に57球。ラスト3球はミットにズバッと速球を投げ込み、「よっしゃ!」と雄叫びを上げた。早ければ第2クールにも、外野で守備練習を行う可能性も高まってきた。
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宿敵は金本の「笑顔」を警戒した。午後3時過ぎ、無人のブルペンに乾いたミット音が響いた。右肩痛を抱える金本のサプライズ登板。報道陣は色めき立ち、ファンも大移動した。設営された客席の一角。他球団の007で唯一、42歳の右肩に熱視線を送る人物がいた。
「全く顔をしかめてないでしょ。ずっと笑顔なんですよ。それが全てを物語ってますよね」。中日の佐藤スコアラーはそう話すと「打撃も見たけど、ティーを打ってる感じは全く問題ない」と続けた。
金本は復活するのか。小林宏ら新戦力の分析に精を出す一方で、中日は背番号6の右肩を追い続けている。先発オーダーに金本の名前がある、ないで戦い方が一変する。昨季最後まで覇権を争った竜は抜かりがない。
金本が伊藤トレーナーとブルペン入りした。悪天候でメーン球場が使えず、野手全員がドームで打撃練習を行ったため、ネットスローのスペースが確保できなかった。練習の場をブルペンに求めた理由に特別な意図はない。それでも、結果的に約300人のファン、テレビカメラ10台、スチールカメラマン17人を含む報道陣62人を前に、公然と右肩の現状を披露したことは、意義深かった。
金本が立ったのは、マウンドとホームベースの中間付近。約10メートルの距離から、捕手役の伊藤トレーナーを立たせた状態で57球を投げ込んだ。
「ラスト2球、前のほうで投げてみようか」。金本がリリースポイントを前方に意識しながら投球すると、同トレーナーは「今の感じ。その形であと3球投げて下さい」とOKサイン。それまでベース後方に据えていたビデオカメラを報道席に移動させ、横角度から合格点の送球フォームを撮影した。
「素人のピッチャーみたいやな」。時折、コントロールの定まらない軌道でミットを上下左右に大きく動かしたが、最後はビシッ!と真ん中に速球を投げ込みフィニッシュ。金本は「よっしゃ!」と雄叫びを上げた。
ティー打撃では和田打撃コーチのトスで85球をたたいた。制限を設けないフルスイングに笑顔がはじけた。球場から引き揚げる際、タクシーの乗車を邪魔した新井の背中に、仕返しでこん身の送球を命中させた。今キャンプ、金本の笑顔がチームに活気をもたらしている。