忍び寄る「孤独死」、今では青壮年層も(中)
■韓国も「孤独死」の時代に突入か
日本では年間73万2000人が誰にも知られることなく死を迎えている。こうした死を「孤独死」と呼ぶが、主に高齢者がひっそり孤独死するケースが多い。韓国でも、高齢者が誰も知らない間に死亡していたというニュースをよく耳にする。そして最近では、青壮年層の失業や一人暮らしの急増で、韓国の青壮年層の孤独死が増えている。
統計庁は昨年12月28日、「2010年人口住宅総調査」と題する調査結果を発表した。2000年の調査では222万4000世帯にすぎなかった一人暮らしの割合は、05年には317万1000世帯、10年には403万9000世帯にまで増えたことが分かった。全世帯のうち一人暮らしの占める割合は23.7%。4世帯に1世帯が一人暮らしをしている計算だ。09年末に統計庁は、2030年には一人暮らしをする割合が23.7%にまで上昇するとの見通しを示したが、政府の予想よりも20年早く一人暮らしをする世帯が増えたというわけだ。
一人暮らしをする人が増えている状況は、韓国に限ったことではない。米国や欧州では、1990年代にすでに一人暮らしをする人の割合が全体の20%を超えた。しかし、これらの国では、成人すると共に親から独立する風潮がある。こうした先進国の状況とは異なり、韓国では仕方なく一人暮らしをする人が増えている、というのが問題なのだ。一人暮らしの構造的特徴について研究した現代経済研究院のチョ・ホジョン研究員は「一人暮らしについては肯定的な側面もあるが、社会の変化が著しい韓国社会では、むしろ否定的な側面の方が大きい」とした上で、「一人暮らしの場合、日雇いや単純労働の占める割合が高く、韓国全体の平均と比べると所得が極端に低い傾向にある。その格差は拡大しており、貧困化が進んでいる」と指摘した。
自営業(八百屋)を営んでいたチャンさん(46)は、3年前からソウル市鍾路区敦義洞にチョッパン(狭くて古いワンルーム)を借りて暮らしている。チョンさんは、生活保護として毎月42万ウォン(約3万円)を受け取っている以外に、これといった収入がない。肝硬変と糖尿病を患い仕事ができなくなってからは、一日中テレビを見ながら毎日を過ごしている。チョンさんは「家族とはしばらく連絡を取っておらず、周囲には付き合いをする友人もいない。知っている人は誰もいない」と、寂しげに語った。
一人暮らしをする人が増えている中で、さらに深刻なのは、一人暮らしをする年齢層が60代以上の高齢者だけではなく、20-50代の青壮年層にまで拡大しているということだ。現代経済研究院の調査によると、一人暮らしをする人の割合は40-50代が29.9%、20-30代が23%を占める。チョ・ホジョン研究員は「就職できなければ友人との縁も薄くなり、結婚もますます遠のいてしまう。こうなると、すべてのことが面倒臭くなって一人で暮らす方がましだと考えるようになり、個人主義がさらに深まっていく」と説明した。