忍び寄る「孤独死」、今では青壮年層も(上)

一人暮らしをする人が全体の24%

失業が貧困を生み、貧困は孤独を生む

 先月4日午後6時ごろ、京畿道水原市にある考試院(受験生向けの貸し部屋)で、住人のイさん(32)がベッドにうつ伏せになったまま死んでいるのを考試院の管理人が発見し、警察に通報した。警察の関係者は「すでに死体の硬直が進んでいたのを見ると、死後数日が経っていると思われる」と話した。死亡したイさんは江原道出身で、3年前からこの考試院で暮らしていた。

 家電メーカーに勤務していたイさんが暮らしていた約5平方メートルの小さな部屋には、シングルベッドとテレビだけが置かれ、シャワーとトイレは共同だった。この考試院は家賃が月20万ウォン(約1万4600円)で、全部で23世帯が暮らしている。イさんはほかの部屋の入居者と同じく、人々との交流はなかった。考試院の管理人のイさん(56)は「ここ3年間、家族にせよ友だちにせよ、イさんを訪ねてくる人を見たことがない。考試院で暮らす人々は台所を共同で利用しているが、一緒にご飯を作って食べるようなこともほとんどない」と語った。

 ソウル市内の新村駅近くにある考試院で一人暮らしをするチェさん(29)に会った。ソウル市内の大学に入学したのをきっかけに、故郷の全羅北道全州市を離れ、考試院での生活を始めた。大学卒業後に兵役を終え、その後4年間にわたって行政考試(日本の国家公務員第1種試験に相当)の勉強に励んでいたが、昨年あきらめてしまった。考試院での生活は今年で10年目だ。チェさんは中学生を教える家庭教師したり、夕方には飲み屋でアルバイトをしながら月に約100万ウォン(約7万3000円)を稼いでいる。部屋の大きさは5平方メートルほどで、トイレとシャワーはやはり共同だ。チェさんは「朝、隣の部屋のアラームの音で目覚める。隣の部屋でどんなテレビを見ているのかも分かる」としながらも、「隣の住人の名前や仕事も知らないし、あいさつしたこともない」と、寂しそうに語った。また「一人暮らしをする寂しさから、自殺を考えたこともある」と悲しい胸中を打ち明けた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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